週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

戸田建設 「鉄筋コンクリート扁平梁工法」を開発

2019.09.16 11:49

梁の断面を扁平にし空間を確保 建築自由度高く設備設計も容易に
 戸田建設(東京都中央区)は、高層建築物に用いられる高強度の鉄筋やコンクリートを組み合わせるとともに、梁の断面を横長(扁平梁)とすることで、従来よりも床から梁下までの高さを増すことのできる「鉄筋コンクリート扁平梁工法」を開発した。広い梁下空間を確保することで、天井裏の設備計画や施工が容易になるとともに、建築計画の自由度が向上し、開放的な空間を実現できる。
 一般に建物を支える梁は、曲げる力に対して強い縦長の断面とするため、意匠上の観点から梁を隠すためには天井を低くする必要がある。また、梁によって天井裏の設備スペースが分断されてしまうなど、設計・施工上の課題も多かった。一方で、単に梁せいを小さくすると曲げる力に抵抗する性能が低くなってしまい、また、梁幅を柱幅よりも広くすると、柱から梁への力の伝達が複雑になるため、必要な構造性能が得られなくなるという懸念もあった。
 「鉄筋コンクリート扁平梁工法」は、梁幅を大きくした横長の断面の梁を採用するとともに、以下の工夫を加えることで必要な構造性能を確保しながら、梁せいを従来に比べて約2分の1に抑制。それは、扁平梁に高強度鉄筋および高強度コンクリートを用いたこと、免震構造や他の耐震要素(耐力壁など)と組み合わせたこと、構造設計の際に、柱幅からはみ出した部分の梁を介して柱に伝達する力を適切に評価したこと、の3つの工夫で可能となった。
 同工法よって、建築計画の自由度が向上し、室内空間の有効利用や開放的な空間を実現できる。さらに、天井裏に敷設する設備配管のレイアウトの自由度が向上。かつその施工も容易になる。戸田建設は、同工法の構造実験による検証結果をもとに、高強度扁平梁の設計法を取りまとめ、一般財団法人 日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得している。
 同社によると、室内空間を最大限に利用しながら建物高さを低減したい集合住宅や、天井に設備配管などが多く配置される医療施設などにおいて、特に効果を発揮する工法だという。そうした施設の建築計画に対して、同社は今後、同工法の特性を十分に説明しアピールしていく考えだ。




週刊不動産経営編集部  YouTube