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名古屋発 東海最大級のコリビング型シェアハウス誕生
2019.10.07 15:10
加藤設計/シェア180 住む・働くを軸に地域交流の拠点にも
働く場所の多様化が進むなかで、シェアハウスにも新しい波が到来している。それが「コリビング」だ。名古屋を拠点にシェアハウス展開を進めるシェア180がこのたび、「THE CRIE HIGASHIYAMA」をオープンさせた。主要都市で初展開となったわけだが、誕生経緯と今後の展開の戦略について聞いた。
東海エリアを中心にシェアハウス事業を展開するシェア180(名古屋市中川区)は9月20日に地下鉄東山線「東山公園」駅から徒歩6分の場所に「THE CRIE HIGASHIYAMA」をオープンした。それに伴って、9月27日、28日には物件内覧会も開催された。
「コリビング」とは住みながら働くことをメーンとする。「ザ・クリエ・東山」では入居者同士で交流を図るリビングダイニングや外部の会員向けにも開放するコワーキングスペース「クリエ ワークス」、またサテライトオフィスや地域交流拠点機能を担う「クリエ ラウンジ」を設けている。
同物件は地上3階建てで、延床面積853.75㎡、敷地面積1011.97㎡。1階はリビングダイニングやコワーキングスペースなどの共用空間となり、2~3階に16室ずつ、計32室の居室がある。築年数は43年となっていて、もともとは建設会社の社員寮として使用されていたという。この物件を現所有者の加藤設計(名古屋市東区)が購入。活用を検討する上で、シェア180に企画運営を依頼することとなった。「名古屋」駅まで電車で10分程度。起業家やクリエイター、学生などを入居者のターゲットとする。
加藤設計代表取締役の加藤昌之氏は購入の経緯について次のように話す。
「当社はビルの高収益化と環境配慮をメーンにビル設計や不動産事業を展開しています。前所有者の企業は社員寮として使用されていましたが、売却の話が出た際には『建物を解体した上で土地だけ』というご提案でした。ビルは築40年を過ぎると建替えが進んでいきますが、一方で建物としてはまだ利用していくことは十分に可能です。今回の元社員寮は築43年が経過していますが、建物の躯体もしっかりとしています。このことから十分に再生可能だと考えて、購入を決断いたしました」
運営会社として委託を受けたのがシェア180。同社は中部エリアを中心にシェアハウスを展開していて、名古屋市内の紹介物件では32ハウス550室とエリア最大級となっている。
今回のコリビング型の展開は金沢に続いて2棟目となる。代表取締役の伊藤正樹氏は「ワーキングスペースの会員としてはこれまでのフリーランスやクリエイターなどに加えて、名古屋進出を狙う企業の最初の拠点としても需要があるのではないかと考えています」と話す。社員が少人数であれば、ここで住もオフィスも置くことができる。
運営者自らが物件を活性化させていく施策も展開していく。
「シェアハウスは全空から始まるので、稼働率を安定させるまでには時間がかかります。たとえばこの間を使って期間限定でアーティストインレジデンスとして運用していくことも検討しています。また稼働率が安定してきたら、入居者同士の交流やシナジーを生むようなコミュニティ活動の形成も行っていきます」
注目度の強いコリビング型シェアハウス。2例目の名古屋の成否は今後の「コリビング」の行方を左右しそうだ。