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Connected Design よりIoTを身近な存在にする

2016.05.16 14:43

「Connected API」の展開開始
 IoTが広がりを見せるなかで、それらをリンクさせることで新時代に見合った付加価値の実現につながるかもしれない。  Connected Design(東京都世田谷区)は先月19日に法人向けAPI「Connected API」を展開していくことを発表した。「API」とは部屋内のIoT機器と各種業務システムと連携する仕組み。オーナー・管理者はその仕組みを用いることで、IoT機器の使用履歴や各機器の連携等を行うことが可能となる。
 同社は昨年11月、イッツコミュニケーションズ、ニフティ、東京急行電鉄の3社が共同出資して設立。イッツコミュニケーションズがこれまで家庭用のIoT機器の連携システムとしてスマートホームシステム「インテリジェントホーム」のサービス開始を昨年2月に発表しているが、「Connected API」は法人向けで展開していく。取締役副社長の福西佐允氏は今回の発表の狙いを次のように話す。
 「昨年来より製品展開が進んできたIoT機器は徐々に知名度が広まってきており、今年から来年にかけて普及も進んでいくと見込んでおります。しかしながら、鍵や照明、空調など各分野のIoT機器が製品リリースされていくなかで、各機器を統合しひとつのシステムにしていく作業はされておりませんでした。当社の今回のサービスの発表が、IoT機器の普及とより利便性の高いもととして展開が進んでいくと考えております」
 実際に今回のシステムはどのようなものなのか。あるオーナーの悩みを参照にシステムについて見てみよう。
 埼玉県に5階建のテナントビルを所有するオーナーは、長年空室となっていた5階フロアを貸スペースにしており、自ら運営している。運営は順調だが、一方で利用者がいる場合にはオーナー自らが鍵の開け閉めと照明・空調の設定を行う必要があるなど、手間がかかっている。
 このケースの場合、まず同社の鍵、照明、空調に関するIoT機器と各機器間をリンクするゲートウェイ機器を導入。その後「Connected API」を活用した予約システムを導入する。これによってスペースの利用者は任意の日時を選ぶことで、その間は有効である鍵のコードなどをURLで入手し、オーナーが自ら出向かなくても利用できる環境を構築することが可能となる。
 「オーナーは万一の場合に備えて、ブラウザ上で操作が可能です。またカードキーでの鍵の開閉も可能なので、たとえば清掃事業者などにはそれを渡すことによって、これまで通りのビル管理を継続することができます」(福西氏)
 このシステムの汎用性は高く、同社では貸会議室のほかにも、不動産物件の内覧時やシェアスペース、また近年ブームとなっている民泊物件での導入も進めていきたい考えだ。必ずしも1フロアを1つの会社で使用する時代ではなくなり、「シェア」が当たり前の時代となってきている。そのなかで、より使いやすいスペースの実現が付加価値の創造になることは言うまでもない。新しいビル経営の到来に向けた準備は欠かせない。




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