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ディー・サイン不動産研究所 中小ビルオーナーに向け新サービス提供開始
2016.05.02 16:46
4つの「p」で物件の魅力・特性を分析
賃貸ビルの空室改善は、多くのビルオーナーが抱えている課題の一つに挙げられるだろう。この課題の解決に向け、頼りにしたいのが仲介業者や管理・PM会社、コンサルティング会社といった専門家の存在である。しかし、空室改善に係る業務の一切を外部に任せることは、オーナー側の手間を省くことができるメリットがある反面、仲介手数料以外のコスト負担の増大というデメリットも介在する。また、業務のアウトソース化は自社のノウハウ蓄積につながりにくく、臨機応変な空室改善に取り組むためにはオーナーの自主的な参画も必要となろう。
不動産会社、ビル会社向けの経営コンサルティングやオフィス立地ブランド調査等を手掛けるディー・サイン不動産研究所(東京都中央区)では4月22日より、オーナーの自主的な空室改善を支援するサービスメニューとして「オフィスビル空室改善PACK」のサービス提供を開始した。このサービスでは、各ビルに合わせた調査・分析によって得られたデータを土台にしたマーケティングツールの作成と、活用ノウハウの提供によって仲介業者などのエージェントに全てを頼らずにオーナー自らの取り組みで空室改善の実現を目指す。ディー・サイン不動産研究所の吉崎誠二所長は「このサービスはビルオーナーに空室改善ノウハウの定着を支援し、自主的な空室改善のサポートを目的として提供を開始しました」と語る。
賃貸営業でまず重要なポイントとなるのが、物件の魅力と特性の把握である。「オフィスビル空室改善PACK」は、「Product」・「Price」・「Promotion」・「Place」の4つの「P」から物件のアピールポイントを調査する。
①Product:ビルそのものの魅力の明確化
条件が近似する周辺の競合ビル約10物件をリストアップし、専用のチェックリストを用いた評価と現地調査で物件の魅力や弱点を抽出する。
②Price:理論賃料の提示
調査時点でテナント募集を行っている近隣の同規模ビルを50~100棟リストアップし、築年数やアクセスなどの価値要因を比較。リストアップした物件の中のポジションを探るとともに、近隣ビルの平均賃料と比較した場合の賃料を「理論賃料」として算出する。
③Promotion:ネット掲載状況最適化
オフィス検索の主要なサイトに掲載されているか、掲載内容は最適かなどを調査。競合ビルとの掲載状況を比較分析する。
④Place:エリアイメージ調査結果の提示
ディー・サイン不動産研究所が独自に行う「オフィス立地ブランド調査」をもとに、ビルが所在するエリアについて分析結果を提示する。
この調査・分析の結果をもとに、ビルの魅力を整理しターゲット層に効果的に響くパンフレット、ビルの魅力を端的に伝える販売図面など、空室改善を実施するためのマーケティングツールを作成する。「オフィスビル空室改善PACK」ではこれらのマーケティングツールを有効活用するためのマニュアルも提案。ビルオーナーとしてのコア業務領域を広げることで、空室発生の度に有効な改善策をオーナー自身が実践するためのノウハウ蓄積を支援する。