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<話題のベンチャー企業> オフィス街をターゲットにし1日平均2万800色を販売 仕出し弁当で年商20億円に成長

1997.01.21 13:58

 玉子屋(東京・大田区 菅原勇継社長)ではオフィスを主要なターゲットとして一日平均二万八〇〇 〇食の仕出し弁当を販売、二〇億円を超える年商を挙げている。
 同社は元とんかつ屋。一九七四年のある日、客が並んで待つほどの繁盛店であったため、仕出し弁当を頼まれた。
 「このことが弁当屋への脱皮のきっかけになりました」(菅原社長)
 待ちの店舗営業ではなく、攻めの営業ができ、店舗面積や立地に左右されず、売上も期待できるという訳だ。
 菅原氏はこのときからオフィス市場をターゲットにすえた。当時の店舗は大田区にあり、近辺には町工場が多数存在していた。その市場を重視しなかったのは、すでに地元業者が入り込んでおり、価格競争は免れないこと。さらに、町工場は広い地域に散在して効率性に問題ありと考えたからだった。
 その点、オフィス街はやり方次第で、効率的な営業できると判断。また、菅原氏は元富士銀行五反田支店勤務のサラリーマン。オフィス街では「安くておいしい」ランチを求めて”昼食難民”があふれることも知っていた。
 最初のターゲットを銀座と五反田に絞り、自ら営業をかけた。銀座は京橋商業高校出身だったことから、土地勘があったこと、安さがセールスポイントになるとの判断だ。
 菅原氏は以降、安さと味を徹底的に追求していった。現在、同社の主力商品は四二〇円の日替り弁当。それに一品加えた五一五円の二品勝負である。この商品を限定したことが効率的な仕入れと加工を可能にし、低価格を実現した大きな要因だ。さらに加工工程をできうる限り機械化したこととパートの活用である。
 「機械化はイニシャルコストがかかっても、導入後三年後には効果が確認できるものです。当社は二〇〇名以上のスタッフが活躍していますが、そのうち正社員は六〇名です」
 味については、菅原氏以下幹部スタッフ、パートまでもが毎日商品を食べて「おいしさ」を確かめていることからうかがえるこうしたこだわりで中央三区や渋谷、新宿のオフィス街に販売エリアを拡大出来たのである。
 オフィスビル市況がまだまだ厳しい折、テナント誘致策として、安くておいしい弁当屋との提携というのはどうだろうか。




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