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森ビル開発、総事費100億円を計上 仙台市内に地上約85メートル 国内最高高さの免震事務所ビルを建設
1997.01.21 13:59
阪神・淡路大震災以降、大手ビルオーナーでは、保有ビルの耐震診断や補強工事を積極化させており、又テナント側もオフィス物件の免震対応へのニーズが高くなっている。森ビル開発では、宮城県仙台市に国内最高高さの免震オフィスビルを建設する。この概要を報告する。
森ビル開発(東京都港区・森章社長)では、仙台市に高さ85メートルの免震オフィス物件の建設に着手する。
この免震構造によるオフィスビル、仙台MTビル(仮称)は、国内で最も高い規模となり、レトロフィットによる免震化を除くと、世界でも最も高い新築免震ビルになる。
森ビルグル-プでは阪神大震災を契機として、都市型災害においては、耐震に対する基準を再検討している。そうした中、同社では地震時にビルの倒壊を防ぐだけで無く、ビルの機能を維持させ、また震災後早急な復旧により、オフィス機能の仕様を可能とすることが重要。又都市型オフィスビル設計には、最も求められていると考え、こうした状況を踏まえ、仙台におけるオフィスビルに免震構法を採用することになったもの。免震構法には大成建設が開発した技術を採用する。
今回採用された免震構法は、「ハイブリッドASS構法」。1階床下に弾性すべり支承(積層ゴムとすべり板の組み合わせ)と、積層ゴム支承とを併用した免震層を設置し、これにより地震時の建物の揺れを非免震の場合と比較して2分の1から3分の1に低減するもの。特に積層ゴムによる免震は、その素材の柔らかさを利用しており、建物を長周期化することによって、建物に伝わる揺れを抑える。
仙台MTビルは、JR仙台駅から至近、仙台市宮城野区榴岡の自社所有地約5100平米に建設されるオフィスビル。地上18階、地下の駐車場には345台の駐車スペースを確保しているのが特徴。平成11年竣工予定で、総事業費は約100億円を見込む。