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阪神大震災で被害受けた自社ビルを取り壊し「神戸旧居留地平和ビル」建設へ

1997.03.21 16:24

平成10年2月完成へ向け平和不動産が着手
 平和不動産(東京都中央区)では、平成10年2月をメドに「神戸旧居留地平和ビル」を新たに建設する。同ビルは、阪神大震災で多大の被害を受けた「神戸取引所ビル」の建て替えに伴うもの。現行耐震基準を大きく上回る耐震性能を誇る同ビルの概要をレポートする。
 平和不動産(東京都中央区)では、平成10年2月をメドに完成を予定している「神戸旧居留地平和ビル」の建設に着手した。
 これは、敷地面積約1000平米に建つ賃貸ビルで鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)、地下2階、地上9階建て。延べ床面積は約8000平米(基準階面積約700平米)。同ビルは先の阪神大震災の教訓から、柱・梁の耐力を強化させ、現行の耐震基準を1.25倍以上の耐震性能を確保するよう設計されている。特に1~7階には、弾そ性ダンパーとオイルダンパーを組み合わせた「ハイブリッド制震ダンパー」を採用することにより、建物全体の揺れに対する減衰性を向上させているのが特徴。
 また、消費電力を大幅カットするためHf安定器を蛍光灯の標準設備装備化やガス熱源空調設備により、ランニングコストを低減させている。
 同ビルは、「神戸発祥の地」と呼ばれる1868年の設置の外国人居留地跡に建築される。平和不動産では昭和27年より同所に、神戸ゴム取引所を主要テナントとする「神戸取引所ビル」(7階建て、延床面積約6000平米)を所有していたが、2年前の阪神大震災により多大な被害を受けた事を契機として建て替えを計画していた。
 総工費は約30億円。賃料は坪約1万5800円(敷金15カ月分)。既に1~2階の商業部分にはアパレルメーカーなどの入居が決定しているという。
 神戸地区は震災後、被災したテナント企業が仮事務所に移転しているケースが多く、新築ビルへの潜在需要は非常に高い。そのため同社では、コの建て替えにより、震災直後に移転した企業の「約3分の1は戻ってくるのでは」(同社ビルディング事業部)とみている。




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