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<トピックス>大成建設 地震リスク算出しLCCを比較 免震化の経済効果をコストで評価

1997.09.21 12:45

 大成建設(東京都新宿区)は、建物を免震化することによって得られる経済効果をコストで評価する方法を開発した。これによって免震化された建物と、建物の建設から大地震後の復旧工事費用、または取り壊されるケースのライフサイクルコストを比較算出することができる。
 これは、地震によるリスクを確率論で評価する「地震リスクマネジメント」方法を活用したもので、地震発生確率に建物の被害対象箇所の価値を掛け合わせて損失額を算出するもの。
 「建物の被害対象箇所とは、構造体、設備機器、什器・備品コンピュータ内の情報に代表される無形資産、テナントの営業停止による損失補填など6項目に分別されたもの」(営業推進本部・耐震推進部・塚田康夫次長)で、それぞれの地震リスクを算出できる。これにより、免震建物のライフサイクルコストを定量的に評価する。その結果、建築費に比べて設備費の比重が重い建物、家具・寿樹・無形資産など守るべき価値が大きい施設ほど免震の利点が大きいこと、また、時間の経過とともに免震建物のコストが相対的に低くなることが証明された。
 同社では、この手法を用いて、各建物ごとに立地や建物の構造、利用目的を考慮して試算する。施主にちって、「免震化によるイニシャルコストが、ライフサイクルコスト上のコストメリットとして金銭的に把握することができる」(塚田次長)という。




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