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大成建設 割安な深夜電力活用で費用低減 コンクリート蓄熱空調ビルシステム実用化 自社建物の他3棟採用決定
1998.02.21 16:01
大成建設では、従来より建物のコンクリート床に冷気・暖気を蓄える「コンクリート蓄熱空調ビルシステム」の実験を進めて来たが、この程実用化に成功。自社設備を含む3棟の建物に採用したと発表した。
同社が開発した蓄熱空調システムは、中空のコンクリート床材を使用するのが特徴。また、割安な深夜電力を活用し、ピーク時の消費電力を抑制する。特別割引の料金制度も適用される為、ランニングコストの削減も出来る。
大成建設の蓄熱空調システムは、冷房の場合、夜間に冷たい空気を天井の中空スラブに送風。コンクリートを冷やし、昼間にはこれらのコンクリートに逆に風を送り、床材に蓄積された冷気を室内に供給する。
一方、暖房の場合は、床を逆に暖める事で、昼間に蓄積した暖気を室内に送るものだ。
中空コンクリートは、空気の接触面が広い為、夜間に蓄積された冷気が逃げる事が少ない。こうした特異点から、割安な深夜電力を昼間の冷暖房に利用する事で、空調コストは同社では約20%削減出来るとしている。
また、中空スラブを採用する事で、従来ビルと比較した場合、天井面から床面までの厚さを、約6割程度に抑える事が可能となり、31メートル高さ制限ビルで、階数を1フロア程度増やす事も可能。
因みに、今回同システムは、大成建設大阪支店の増築工事他に採用される予定。