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<私の転機>東京芸大出バイオリニストの顔を持つ異色社長 今では空気清浄機等環境関連機器を製造
1998.03.21 10:29
空気清浄器やオゾン生成水など環境機器の製造・販売を手掛ける共立電器産業(東京都大田区)の吉松竹四郎社長は、東京音楽学校(現東京芸術大学)卒業という業界でも異色の経歴の持ち主。
郷里秋田で小学校の頃からバイオリンを始めた吉松社長は、その魅力にすっかり取りつかれ、東京音楽学校まで進んだものの、いざ就職先として選んだのは、どうした訳か東芝の研究所。一見音楽とは全く畑違いの選択のようだが、「入ったのは音響に関する研究所。バイオリンが奏でる音も電流もともに周波数から成り立っているもの。共通項はあるのです」と吉松社長。
何はともあれこれが吉松社長を音楽から電気工学の道へ引き入れるきっかけとなった。
当初はバイオリンで養った耳を活かして音の判定作業を担当していたが、次第に電機の分野にのめり込み、とうとう電気工学を本格的に学ぶため、東京電機大学の夜間学部へ入学してしまう。
やがて研究所を退所。タムラ製作所の研究所創設に参加するなどした後、昭和52年、独立して会社を興す。
はじめは電子ライターの着火装置などを製造していたが、次第に環境関連機器に興味を覚えると、ここでも居ても立ってもいられず、オゾンの研究が進んでいるドイツへ渡ってノウハウを学び、これが今日の同社の礎となっている。
最近では年に数回しかバイオリンを持つ機会はないというが、持ち前の向学心は今なお健在だ。