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<噂のスクランブル>土壇場で欲をかき特別空調費を上乗せ 秀和がメリルにふられた本当の理由 山一証券本社ビル後釜探しのひと幕
1998.04.01 17:38
昨年夏に竣工した大手町ファーストスクエア・イースト棟に、メリルリンチ日本証券の入居が固まった。
メリルリンチ日本証券といえば、米国の大手証券会社、メリルリンチが設立した日本法人。その人員、拠点の中核は、すでに知られる通り、自主廃業する山一証券から引き継ぐ従業員や店舗で構成する。
となれば誰しも思い出すのが、中央区新川の山一証券現本社ビルもメリル社がそのまま引き継ぐのでという話。新川の山一本社ビルは同社の社有ではなく、秀和の賃貸ビル「茅場町タワー」を一棟借りしていたもの。とは言え平成8年10月竣工で延貸室面積が約7500坪と最近希少な新築大型ビル。証券業務に必要な設備が完備されていたこともあり、昨年の山一自主廃業発表以降、金融関係から引き合いが寄せられ、中でも「結局は山一との縁でメリルリンチが最有力」との情報が流れていた。
実際、市場関係者の話を集めて見ると、いったんはメリル社の入居で秀和との間で話が固まっていたことは確かなようだ。
ところが、土壇場で秀和が欲を出した。メリル社との間で詰めていた賃貸条件は、賃料が坪2万円、共益費用が坪5000円という内容だった。山一に貸していた金額は、共益費込みで2万円台前半と見られるから、これより若干アップした形だが、早々の引き合いで強気に転じた秀和が最終段階で「特別空調費・坪2500円」なるものを上乗せしようとした。実質的な条件引き上げである。
これにはメリル側も反発。結局、商談は流れてしまった。
メリル日本証券のファーストスクエア入居には「本体のメリル社東京支店に近い立地を選んだ」などと表向きに言われているが、闇から闇に葬られたもう一つの本当の理由がこれだ。