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築30年、地上22階の超高層ビル 竹中工務店が熱源改修工事実施 大阪のOMMビルに水蓄熱ビルシステム導入

1998.04.21 17:11

 既存ビルの熱源設備を環境に考慮したスタイルに改修することは重要な課題の一つ。この点を踏まえ、竹中工務店(東京都中央区)ではこのほど大阪市中央区のOMMビルに”氷蓄熱システム”を導入する等のリニューアル工事を敢行した。
 同ビルは築約30年の地下4階地上22階、延床面積13万平米の超高層ビル。近年、空調熱源機器類の劣化、マルチメディア化による電力負荷の増加、多様化してきたテナントの空調ニーズなどに対応するため、電力の平準化が図れ、省エネに貢献、かつ環境に配慮した改修工事を計画したわけだ。
 導入された氷蓄熱システム「CLIS」(クリスタルリキッドアイス蓄熱システム)は夜間電力を利用し流動性をもたせたシャーベット状の氷に蓄熱する。氷は小さな粒の集まりであるため、ブロックのように塊になって熱交換面積が限られる他の氷蓄熱システムに比べて蓄熱量と効率を高めることができる。また、氷の流動性により蓄熱槽の形状を自由に設計できることから改修工事に適したシステムとなっている。
 氷蓄熱槽の設置場所は、地下の既存倉庫部分を利用。実容積250平米のものを2基設置したが、これにより、延床面積13万平米の建物の22%の負荷をピーク時にまかなうことができる。また、冬でも冷房が可能となり個別の空調ニーズに対応できるようになったのも特徴となっている。
 竹中工務店の氷蓄熱導入実績は平成9年末までに約150件、国内の約25%のシェアをもつが改修工事による導入はまだ10件程度、今回のような大規模なケースは初めてということだ。
 また同ビルではこれまで灯油炊きボイラーを使用していたが、今回ガス吸収式冷温水発生機を導入、各場の暖房をまかなうこととなった。それによってCO2 37%、Nox48%、SOx99%を各々削減できるという。「OMMビルの事例をモデルケースとして既存ビルにおける熱源改修工事の営業活動を推進していきたい」(広報部)とのこと。




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