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大和生命がG・サックスに本社ビルを売却 譲渡価格は約600億円 国内不動産最大の証券化により自己資本拡充
1998.05.21 15:23
大和保険生命相互会社(野々宮恵治社長)では、同社が所有する本社の土地と建物を証券化し、米国大手の投資銀行・ゴールドマンサックスに売却した。大和生命ビルは、東京都千代田区内幸町の位置し、明治時代に建設された鹿鳴館の跡地としても知られるほどの超一等地。概要を報告する。
大和生命では、同社が東京都千代田区内幸町1-1-7に保有する、大和生命(本社)ビルの土地と建物を証券化、米大手投資銀行のゴールドマンサックスに売却した。
大和生命ビルは1980年に竣工。地上26階建てのオフィスビルで、敷地面積は約5100平米。延床面積は約5万2000平米だ。帝国ホテルに隣接する同ビルは、明治時代に建設された歴史的な建造物である、鹿鳴館の跡地でも有名。また、同地は今年1月の公示地価では、全国で7位の商業地域で、これだけの賃貸オフィスビルの不動産購入では、国内不動産最大の証券化となる。尚、詳細な金額を大和生命サイドでは発表していないが、公示価格による評価額に準じた金額と話しており、約600億円前後と見られている。
現在、大和生命ビルの稼働率は100%。また、賃貸面積の2割は大和生命本社が活用しており、他の賃貸部分にはマツダ、レンゴー、ジャーディン・フレミング、アジア開発銀行、NTT、その他主要国内外の企業により使用されている。今後も大和生命では当該ビルを使用。ほかのテナントと同水準の賃貸料を支払い、大和生命本社として利用する予定。尚、ビルの名称は、これまで通り「大和生命ビル」で使用される。
大和生命では、従来より業界最高水準のソルベンシー・マージン(保険金支払い能力)を維持しており、その有する巨額の含み益をどのような形で経営に反映させるかを検討していたと言う。また、ビッグバンの進行とともに、日本生命保険業界では競争が激化しており、その財務基盤を強固にする必要があった。その為、今回の証券化で不良債権を一掃し、自己資本を充実させたもの。