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米国名門ホテルを日航が285億円で現地法人に売却 不採算関連事業縮小計画の一環 海外不動産市場からの撤退加速

1999.02.01 14:06

 日本航空(東京都品川区・兼子勲社長)はニューヨークに所有する名門ホテルエセックス・ハウスを米国ホテル運営会社ストラテジック・ホテル・キャピタル(SHC)に売却、既に昨年度末調印を済ませたことを明らかにした。
 現地紙の報道によれば売却は98年度内にも完了する見通し。売却金額は2億5000万ドル(約285億円)とのこと。
 日本航空はアジア経済危機のあおりで国際旅客市場が低迷。また国内市場も昨年よりドル箱路線の羽田-福岡、羽田-札幌に格安料金をうたった航空会社が参入したことでシェアを奪われ、採算が悪化、機材売却を中心にしたリストラで経営基盤の安定を図っている最中。
 同時に海外不動産市場からの撤退を決定。ホテルについても米国中心に物件の整理を進めていた。
 今回売却されたエセックス・ハウスは1931年の開業。日航は1984年に同ホテルを1億9000万ドル(現在の相場で約217億円)で買収。更にその後の改修にも1億ドル以上を投じていた。
 日本航空に限らず国内航空会社は国際線の低迷や国内観光需要の減少で厳しい状態が続いている。
 国内第2位の全日空も昨年秋にワシントン・ロサンゼルスに所有のホテル2棟を現地法人に2億7000万ドルで売却し米国本土のホテル事業より撤退している。
 また日本エアシステムの東急グループ全体の業績悪化の影響から状態は芳しくなく、国内外の航空会社との統合もうわさされている。
 高度成長時代の花形産業のひとつであった航空業界にも大きな転換期が訪れており、従来の拡大路線の見直しを測られていることを象徴する今回の一件であるといえる。

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