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古紙再利用の木目調新建材開発 強度や耐湿性に優れ屋外に最適
1999.05.01 12:07
環境問題から古紙のリサイクル化が進んでいるが、新聞古紙や折り込みチラシを再利用した木材調の新建材が開発され話題を集めている。これまで古紙は再び紙にというのが主流だったが新たな分野へのリサイクルが可能になったことで、リサイクル事業そのものも拡大しそうだ。
今回の古紙再利用建材は読売新聞社及び古紙リサイクル企業のリーテック(東京都港区)とプラスチック廃材・廃木材リサイクル技術の開発を手がけるアイン・エンジニアリング(東京都品川区)が共同で開発したもの。
これまでアイン社は木粉とプラスチックを混合溶融させた木質複合木材「スーパーウッド」の開発を行ってきた。今回はこの同社の技術を応用する形で古紙・廃木材を破砕してパウダー状にし、そこに農業用ビニールハウスのフィルムなどから再生した特殊樹脂を混入させ形成させる。
新建材はアルミとほぼ同程度の強度を持ち、温度変化や湿気に対する耐性も強いことからバルコニーなど屋外で使用しても色あせや形状変化、腐食良は殆ど発生しないという。その一方で加工性等は、従来の木材とかわらず塗装や彫刻も自由に行える。
またプリントする木目を変えることで様々な色調や風あいにも対応することができる。更に古くなればそのまま破砕して、再び再生用原料として用いることも可能になっている。
この新建材についてはリーテック社が現在商品化を進めている最中で、来年には市販の予定。
また、新建材と同時に開発されたのが光触媒パルプシートだ。これは新聞古紙を溶かしたパルプに酸化チタンを固定化させたパルプを混合させるもの。
酸化チタンによる光触媒作用には空気中の雑菌などの有機物質を分解する能力があることから外壁材や空気清浄機のフィルターにも用いられているが、今回紙への活用が可能になったことで、壁紙、障子や襖といった内装に用いて、一般住宅の室内環境の清浄化に役立てるものとみられる。