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東京都中央区 容積率を緩和して建て替えを促進 東京・銀座に続いて全国で2例目
2000.03.20 15:56
東京都中央区は日本橋・東京駅前地区におけるオフィスビルを建物の建て替えを促進させるため、一定の基準を満たせば建物の容積率を緩和する「機能更新型高度利用地区」と、建物1階を商業用途に限定するなど総合的な街づくりを推進する「街並み誘導型地区計画」を導入する。
対象地域となるのは、東京駅前の八重洲地区や日本橋地区などを含めた約93ヘクタール。これらの地域は、日本の経済・文化中枢機能を担い続けてきたエリアだが、近年、幹線道路沿道における容積率オーバーの建築物である商業・業務施設の老朽化・陳腐化、街区内部におけるコミュニティの崩壊の危機、街の個性と風格の喪失の危機など様々な状況が生じている。
中央区銀座に続いて、全国で2例目となる「機能更新型高度利用地区」は、建築面積が100平米以上で、歩道などの幅員が2m以上の建築物が対象。建築に際して床面積の内、飲食店や物販店などの合計が2分の1以上ある場合、容積率を上乗せする。上乗せ率は、歩道等の幅員が5.5m以上で300%、4m以上5.5m未満で200%など、歩道等の幅員によって決まる。
「街並み誘導型地区計画」は、敷地面積の大小にかかわらず、道路幅員(12m未満の道路)による容積率制限を緩和し、指定容積率まで使えるようになる。ただし、基準容積率を超える部分は、店舗または住宅の用途に限定する。対象は、建築物の一階部分を店舗や飲食店など商業用途に限定し、店舗型性風俗特殊営業の用に供する建築物は建築できない。
同地区は金融関係を中心に業務機能が集積しているものの、近年はビルの老朽化などが目立つようになってきた。建て替え促進によって、他地域への企業流出を防ぎ、街の機能低下に歯止めをかけるのが狙いだ。
「機能更新型高度利用地区」は、国が平成9年に経済対策の一環として打ち出したもの。現在の容積率制限を超えた古い建物を中心に建て替えを促すのが目的で、平成10年に銀座地区で導入されたのがはじまり。
今後、同区では4月下旬には、意見書の提出や住民説明会を開き、5月下旬に中央区都市計画審議会、6月に都市計画決定の告示、及び建築条例の改正、7月には建築条例の施工を目指す。
この制度を最初に導入した銀座では、今も建て替え計画が相次いでおり、今後、同地区において建て替え需要が伸びることが予想される。