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住友生命総合研究所 オフィス需要動向調査を発表 全国約1千社のオフィス需要調査
2002.02.11 17:20
住友総合研究所は、「第8回全国オフィス需要動向調査」の調査結果を発表した。
同調査は昨年6月末から7月中旬にかけて全国の資本金規模上位1万社を対象にダイレクトメール方式で行われ、1172社より回答が寄せられた。
主な調査内容は、オフィスビルの選択判断基準、オフィスに関する不満、ITインフラの整備状況などである。
まず、新規にオフィスを賃借する理由としては「立地の良いビルに移る」「新たな事業展開をする」「1フロア面積が大きなビルに移る」が上位3つを占めた。
昨年、一昨年新規賃借理由の第1位を占めた「賃料の安いビルに移る」は第4位に後退している他、「企業ステイタスの向上を図る」が昨年9・2%から今年12・7%に増加、「竣工年の新しいビルに移る」が昨年の7・6%から11・9%に増加するなど、全体的に前向きな理由での移転が増える傾向にあるといえる。
また、「今後3年間の間に新たにオフィスを賃貸しようと考えている」と回答した企業が業界全体内で占める比率の高かった業種のトップ3は、サービス業(22・2%)、卸売・小売・飲食業(15・4%)であり、全体の55・8%の企業が1年以内に新たにオフィスを借りる予定でいるという。
また、オフィスの選択にあたって重視する項目については「ビルのセキュリティ」「賃料」が同率一位で、以下「防災(耐震性能)」「共益費」「敷金」と続いており、テナント企業のニーズは「リスクマネジメント」と「コスト」に大きく二分されていると言えそうだ。
特にセキュリティは1999年より、3年連続でニーズが上昇しており、今後もテナントのビル選びにおいて、大きな要素となることは間違いないといえそうだ。
一方、現在賃借中のオフィスに対する不満点としては「空調」「床配線方式」「駐車場」と続く。
定期借家契約については、契約条件の提示を受けた企業は全体の2%にすぎず、一部の大手ディベロッパーを除いては取り組み事例は極めて少ないといえる。
定期借家契約に対する不満点としては「契約期間内に更新が行えない」「オーナーに有利な契約形態である」「制度内容に不明瞭な点が多い」「従来の契約手法の方が都合が良い」と続く。
テナントの立場として定期借家についての意識を見ると「積極的に取り入れてみたい」という企業は全体の0・9%。「前向きに検討している」企業は3・6%。「検討してみたい」企業は28・0%となっており、前向きと思われる企業の割合は全体の34・2%。また定期借家契約を結ぶ場合に望む条件としては「中途解約が可能」「割安な賃料」「一部解約か転貸が可能」など上位を占めている。