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三井住友海上 防災計画の策定に役立つ 建物の延焼リスクを無償シミュレーション
2002.05.13 11:57
建物にとって、最も身近な存在で、尚かつ重大な被害をもたらす災害は火災である。それだけに充分な防災対策を施す必要があるが、いざ火災となったとき、自らの建物がどの程度の被害を被るか、という点については把握していない人も多いのではないだろうか。
三井住友海上火災保険(千代田区)は三井住友グループのリスクマネジメントに関する調査・コンサルティング専門会社であるインターリスク総研と共同で、工場やビルなどを対象にした延焼リスクシミュレーションサービスの無償提供を開始すると発表した。
延焼リスクシミュレーションサービスとは、火災の進展状況を8つのフェーズに分け、そこに建物の防災設備等の条件を設けることにより火災の進展挙動を定量的に分析するというものである。
この結果を基に同社側では対象建物の火災リスクの特徴を示すと供に、建物全体の延焼防火対策、消化対策及び避難対策等についてリスク改善計画を行うのである。
細かい分析手順は、各建物への事前アンケートを基に現場調査を行い、得られた火災リスクに関する情報を数値化し、同社独自の火災リスク評価システムに入力して、分析を行うのである。
また、本サービスの次のフェーズとして火災リスクの分析コンサルティングも有償で用意している。
前述の延焼リスクシミュレーションを建物の区画に対して行うことにより「焼損額」と「その焼損面積・焼損額を超過する火災が発生する確率」を算定することができるのである。
これにより大規模火災の発生する確率が具体的に何年に1回の頻度なのかの目安を算定でき、現状の確立分析結果と防災対策実施後の確率分析結果を比較することにより、防災対策実施による効果を発揮することが可能になる。
同社では、顧客向けに新リスクマネジメントサービスとして、4月1日に発売した企業向け火災保険新商品「プロパティー・マスター」等の保険拡販のツールとしてこれらのサービスを積極的に活用していく予定である。