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三鬼商事調べ 都心5区8月末平均空室率は6・06% 新規大型ビル満室相次ぎ空室率低下
2002.10.07 17:27
三鬼商事によると東京ビジネス地区(千代田・中央・港・渋谷区)の8月末時点の平均空室率は6・06%で前月と変わらず横ばいで推移しており、11カ月ぶりに同空室率の上昇に歯止めがかかった。
しかし横ばいと言いつつもこの数字は同月完成した大規模ビル1棟と大型ビル2棟がいずれも満室で竣工していることが空室率上昇の歯止めをかけた要因となっており、テナント企業の統廃合による解約の動きは見られた。
現在、都心5区ではハイグレードなビルに空室が増加しているため、誘致に関して柔軟な対応をとる動きが広まり、割安感のある同タイプのビルに引き合いが集まっている。今後は中規模程度のビルに分散していた事業所・支店の統廃合を進める企業が増加することが予想されており、すでに一部では大型成約も見られた。2003年の大型供給を控えて、テナント企業の移転動向が注目される。
東京ビジネス地区の平均空室率を区別に見ていくと、千代田区では8月末時点で4・61%と前月より空室率は低下し、中央区は6・81%で横ばいにて推移。募集賃料の見直しが進む新宿区では好条件の大型ビルを中心に引き合いが強まり、大型既存ビルの空室在庫は約1200坪減少し、平均空室率は5・21%と、4カ月連続の改善となった。
大手企業の統廃合の影響をもっとも強く受けているのが港区で、空室在庫が約5000坪増加し、区全体では12万4000坪に及び平均空室率は7・50%まで上昇している。また大型新築ビル、既存ビルともに空室在庫が減少している渋谷区では同空室率6・10%と前月より改善された。
東京ビジネス地区の平均賃料は、8月末時点で1万9554円と前年同月に比べ322円低下し、平均賃料の弱含みがさらに鮮明化しており、テナント企業のオフィスコストに対する要望は厳しさを増している。
平均賃料の内訳を見ていくと大型新築ビルの場合はプライスリーダーとなる大規模ビルの供給が増えたことが影響し、2万8080円と昨年同月を上回っているのに対し、既存大型ビルでは1万9331円と前年同月比394円下げており、新旧ビルの賃料格差は拡がった。また、延床面積5000坪以下のビルでは募集賃料に割安感があるために徐々に空室が埋まっており、満室稼働するビルも増えてきた。
東京以外のエリアの空室率は、大阪ビジネス地区が10・17%で、梅田地区や淀屋橋・本町地区で空室在庫が増加したため前月を上回る数字となった。名古屋ビジネス地区では7・65%で、栄地区の空室在庫が増加したため大阪と同じく前月を上回った。