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ビル代行 日本ビルサービスを子会社化 連結売上で700億円規模に 独立系最大のビル管理グループ誕生
2005.12.19 15:54
老舗ビルメンテナンス会社のビル代行(東京都中央区)は、独立系大手総合ビルメンテナンス会社の日本ビルサービス(東京都千代田区、以下NBS)の株式96%の取得に関して、NBSおよびNBS主要株主と合意に達し、株式譲渡契約を締結した。残りの4%についても来年早々に取得し、NBSを100%子会社とする。
両社は、ビルメンテナンス市場において共に創業50年以上となる老舗企業で、業界の草分け的存在、双方の管理物件を併せると1000件を越える業界トップクラスのシェアを持つ総合ビルメンテナンスグループが誕生する。また、ビル代行グループは傘下に原子力分野のメンテナンスサービス会社であるアトックスを有しており、本年3月末の連結売上高は420億円(単体173億円)、NBSは、連結売上高272億円(単体198億円)となるため、連結ベースで700億円に迫る規模となる。これは、独立系グループとしてはトップ、業界全体で見ても最大手の東急コミュニティーに次ぐ規模だ。
株式譲渡に至る経緯は、NBS代表取締役社長の浅地正一氏の後継者問題などをきっかけに、メインバンクが同じ東京三菱銀行であり、創業時期が近い4社で結成される「四社会」(他に白青舎、東京不動産管理)などで気心の知れたビル代行との協議が進んだ模様。株式取得金額は明らかにされていないが、数十億円規模を見られる。仲介は三菱UFJ証券が行った。
なお、今回の子会社化による社名変更などは当面行わない予定で、来年1月1日に、NBS代表取締役社長にビル代行の矢口社長が就任する。現浅地社長以下の取締役は退任するが、執行役員以下の体制に変更はない。
今後の展開としては、設備管理に強いNBSと清掃・FMに強みを持つビル代行が互いに補完しあってサービスを提供していく他、NBSが運用する赤坂・日本橋の群管理センターを有効に活用することで管理の効率化を図る。また、ビル代行のFMデータベース構築ノウハウなども共有し、質の高い総合ビルメンテナンスサービスを提供していく。
ビルメンテナンス業界は、発注先のコスト意識の高まりや、不動産流動化によるオーナーチェンジなどの影響で受注金額が低下しており、競争力向上などを目的にM&Aによる成長戦略を掲げる企業も少なくなかった。今回のケースをきっかけに業界再編の気運が高まりそうだ。