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東誠不動産 03年から配筋状況等のチェックシステム構築 作業工程を撮影してパネル展示
2005.12.26 14:02
構造計算書偽造問題によって、マンションディベロッパー各社には、購入者から耐震性に対する問い合わせが相次いでいるという。東誠不動産では、説明責任が問われ始めた不動産販売の現場において独自の取り組みを行っている。
一連の報道により、各ディベロッパーに寄せられているのは、「うちのマンションの強度は大丈夫か?」という問い合わせから、中には、構造設計の図面を公開してほしい、施工監理はどのように行っていたのか、といった具体的な情報開示に対する要望まで、様々な消費者の声である。また、モデルルームの客足は止まり、販売の現場に深刻な影響を与えている。
そんな中にあって、東誠不動産(東京都千代田区)では、2003年7月より分譲するマンションなどの品質管理の向上を目指として「パームス・クオリティ・チェックシステム」を導入した。これは、従来施工会社および設計監理会社が行っていた施工監理に加えて、自社社員の一級建築士が、所定の品質・基準が守られているかどうかを調査するもの。独自に構築したチェックシートを実際に現場で目視・計測することによって確認する。
また、全工程のうち鉄筋の配筋状況や設備配管、断熱材の施工状況など、完成後は隠れてしまい確認が困難になる部分を「最重要項目14項目」として特に選び出し、検査風景、検査結果を写真撮影して、各物件の販売センターにパネル掲示している。
「完成後に初めて建物を見る購入者が、安心して購入できるようにと考えて取り組んでいます」(経営企画室)
今後、マンション分譲におけるISOの取得や建設・設計住宅性能評価書など様々な手法で情報開示を行いながら、業界を挙げて信頼の回復に務めなければならないが、同社の取り組みは一つの参考になるのではないだろうか。