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<免震改修レポート>奥村組 従来工法から40%費用低減 免震ノウハウの蓄積を図る 東京本社ビルを居ながら免震化

2008.08.28 17:26

 奥村組(大阪市阿倍野区)は、同社の東京本社および東京支社が入る自社ビル(東京都港区)の1階柱部に免震装置を組み込み、事業活動を継続しながら、既存建物を免震化する「免震レトロフィット」工事を行う。免震化工事に際しての、構造性能評価を平成18年7月18日付で取得し、同7月24日から着工した。
 耐震改修促進法の改正が今年1月から施行されるなど、既存建物の耐震性能向上は社会的な課題となっている。また、企業のリスク管理においても、建物自体の被害抑制と合わせ、事業継続という観点での対策が求められている。
 同社は、得意技術である「免震技術」によって自社ビルを免震レトロフィットし、地震時安全性の大幅な向上を図っていく。
 同ビルの規模は、地上9階、地下3階、床面積約1万㎡。1階フロアの柱頭に免震装置「免震レトロフィット」(高減衰積層ゴム22基、オイルダンパー4基)を挿入する「中間階免震」を実施することによって、地下3階の下に免震装置を挿入する基礎免震に比べ、約40%のコスト低減を図る。はつり箇所を最小限に留める設計とすると共に、工事の騒音・振動を抑制する工法の採用により、約500人が勤務する自社ビルの「居ながら施工」を実現し、騒音・振動発生工事を休日にしか行えないとした場合に比べ、約15%の工期短縮を可能とする。また、施工中の耐震用補強鉄骨の集約化工法や既設建物全ての構造要素(柱/梁/壁/床など)の切断を計画しており、「免震レトロフィット」の工程に合わせ、柔軟に対応できる設計・施工ノウハウの蓄積を図る。




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