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森ビル 新しいワークスタイルの提案を目指す
2009.11.02 17:38
森ビル(東京都港区)は六本木ヒルズ森ビル本社オフィス内に、企業の業務効率や生産性の向上、環境対策など、オフィスのあるべき姿を追求するための実験場として、「MORI WORKING LAB」を開設した。このラボでは同社が開発した設備や建材などを社員自ら使用し、その効果を検証する。
ラボ開設に乗り出した建物環境開発事業部では、所属部員全員の業務パターンの分析調査を行い、オフィスレイアウトやデスク周り、働く環境の自由度に対する不満など、オフィスワーカーが抱えるニーズを浮き彫りにした。また、「1回あたりの作業を行うために費やす時間は2時間以内」という業務パターンも解明し、これらを踏まえて自由にワークスタイルを選べる「フリースタイルアドレス」を導入した。席に滞在できる時間を2時間とすることで集中力を高め、業務効率向上を図っている。環境対策としては、電力消費量を計測できる「消費エネルギーの見える化」システムや、LED照明器具といった新しい建材を開発、導入することで約48%の電力量削減を実現した。
常務取締役の吉森氏は「今回のような取り組みは、一部の人たちだけで行っても機能するものではありません。社員全員の声を集めその内容を踏まえて実験を始めたことで、一人一人に『当事者』としての認識が生まれ、その結果、全員が積極的にこの取り組みに協力するようになりました」と語った。
今後は、満足度アンケートの結果や、心電図、皮膚温計測をもとにした身体への潜在的影響などを検証し、自社内のみにとどまらない『生産性を追及した新しいワークスタイル』の提案を行っていくという。