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街の景観 高層マンション誕生に住民の思い様々
2012.05.14 17:45
東京都千代田区富士見。戦災を免れた同地はビルと住宅が混在し、路地では昭和初期の木造家屋を目にすることができる。大学や専門学校などが多く集まる文教地区としても知られる同地に、新たに高層マンションが誕生することとなった。
建設地は昭和50年に開校したフランス人学校、リセ・フランコ・ジャポネ・ド・東京の跡地。近隣は学校や住宅が混在する独特の景観を保っており、地元では風致を害するとして反対する声も少なくない。地元のあるビルオーナーは「この辺りはもともと閑静な住宅街でしたが、今回の計画はこうした土地に建つメリットを考慮してのことでしょう。土地計画を策定していなかったことが悔やまれます」と話す。
住民増加を歓迎する声もあるが、地上25階、高さ85mの圧迫感を想像し、胸を痛めている住民も確かにいることを忘れてはならない。今回の件に限らず、反対されないビル開発など不可能なのかもしれない。しかし地元の気持ちを汲んだ開発とは何か、一瞬たりとも忘れることはゆるされない。それは開発する立場にある者の宿命である。