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東京工業大学 国内初の電力自給ビルまもなく稼働
2012.05.14 17:46
エコロジー意識の高まりや東日本大震災の影響などによりビルの省エネや節電がクローズアップされるなか、電力を自給自足するというビルが今年2月に完成した。東京工業大学大岡山キャンパス(東京都目黒区)に立つ「グリーンヒルズ1号館(環境エネルギーイノベーション棟)」は、理論上建物内で使用するすべての電力をまかなうことが可能という。
外観でまず目を引くのが、建物を覆いつくすようなソーラーパネルだ。南面と西面および屋上に合計4570枚が設置されており、その発電容量は約650kwにのぼる。設置方法もユニークで、鉄骨で組まれた「ソーラーエンベロープ(外覆)」にパネルを取付けることで発電量の最大化を図っている。エンベロープと建物の間には空間が設けられており、パネルの温度上昇を防ぐとともに室内の通風を確保する。採光にも配慮され、教員室など照度が必要な部屋に面したパネルには傾斜がつけられている。エンベロープは足場も兼ねており、将来的なパネルのメンテナンスも容易になるという。
さらにソーラーパネルの不足分を補う100kwの燃料電池や地中熱ヒートポンプ、エネルギーの見える化システムやさまざまな高効率機器の導入なども導入されており、現時点では最高レベルの省エネビルといっていいだろう。また地震のエネルギーを吸収するブレースが建物外周に配され、直下型地震にも充分耐えうる設計となっている。
同ビルは地上7階地下2階、延床面積9553・57㎡、建築面積1741・85㎡で、省エネルギー技術の研究のほか、教室や研究室などとしても使用される予定。エネルギー使用量の比較的多い実験室なども入居する予定だが、この建物で電力の自給ができれば、一般的なビルでは余裕を持って自給できる計算になるという。本格稼動する夏以降に向け、移転がすすんでいる。