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東電値上げ問題・オーナーの対応 値上げを受け入れないオーナーに脅し!?

2012.06.04 11:27

 5月23日に開催された不動産経営者倶楽部・法務部会勉強会。当日登壇した瑞宝興業(東京都渋谷区)の稲垣俊勝氏、青山安田ビルディング(東京都港区)の安田季彦氏は、東京電力が実施している電気料金の値上げへの憤りを訴えた。稲垣氏は所有物件の管轄支社である東電渋谷支社を訪問。不当な電気料金値上げを拒否する旨を伝えた。一方、安田氏は所有物件の管轄支社である銀座支社を直接訪問。面会した副支社長に対し、今回の電気料金値上げに関する説明を求めた。
 稲垣氏の所有物件の中で東電からの電力供給を受けている物件は3棟。この内1棟については今月に契約更新を迎えており、渋谷支社長の名義による書面が稲垣氏のもとに届いたそうだ。稲垣氏によれば、この書面の内容は「PPS(特定規模電気事業者)に契約を変更しても一向に構わない。しかし、PPSに契約を変更しようとして、仮にPPSとの契約が決まらず当社と再契約を結ぶことになった場合、通常以上の値上げ幅で契約をさせてもらう」というものであった。稲垣氏は「これは明らかに脅し行為」と怒りをあらわにした。その後、稲垣氏は「次回以降の契約更新は自動式ではなく双方の合意の上で行う」、「途中で契約を解除する際は2週間前に通告する」という条件のもと、契約更新を迎えた物件については東電との契約を継続することとしたそうだ。
 安田氏は4月初旬に銀座支社を訪問後、東電からの正式な回答を待っている状態であるが、2カ月が経過した現在もなお、東電からの正式な回答がないという。この間、安田氏のもとに届いた4月・5月の請求書の金額欄は空白となっており、「2カ月も回答を提示しないというのは、一般企業ではあり得ないこと」と述べる。やむなく安田氏は2カ月分の旧料金を入居テナントから預かり、「こちらはいつでも支払う準備ができている」と話しているが、東電からは「4月に契約の更新時期を迎えているため、旧料金を受け取ることはできない」と、双方の主張が平行線を辿っている状態だ。4月からの電気料金の支払いができないことによる延滞金等は発生しないと東電は明言しているそうだが、「テナントも不安を感じている。早く何とかしてほしい」と安田氏は話す。両氏は今後、PPSへの契約変更も視野に入れながら、東電との交渉を継続していく構えだという。




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