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エナジーセーブ 国内初の本格的グリーンリース始動
2012.06.04 11:23
省エネコンサルティングやESCO事業、エネルギーの見える化などを手掛けるエナジーセーブ(東京都港区)は今年4月から、グローバル・ワン不動産投資法人(東京都千代田区)が所有するビルの一部で、本格的なものとしては国内初となるグリーンリース事業「ESグリーンリース・サービス」の運用を始めた。
グリーンリースとは持続可能な建物の構築を目的とした賃貸契約のこと。ここでいう持続可能な建物を端的にいうと環境負荷を極力減らした建物のことで、グリーンビルともいわれている。省エネや環境負荷低減などを目的とした設備や機器を備えることはもちろんだが、建築部材や工法が問われることもある。また入居者もその維持に努めなければならず、海外では実物のモミの木をクリスマスツリーとして使用することを禁じた例もあるという。環境に優しいビルとして欧米などでは注目を集めているが、その一方でグリーンビルの構築および維持には相応のコストが発生する。
グリーンリースはグリーンビルの機能によって削減されたエネルギーコストをテナントに還元するかわりにこのコストをテナントが一部負担するという特徴がある。つまりオーナーは実質負担を抑えて設備投資が行え、テナントはエネルギー費が軽減できるという、双方にメリットがあるのである。
同社が実施するグリーンリースは高効率照明や空調機などの使用によって電気料金を低減させ、低減分をテナントに還元するもの。設備導入などにともなうコストはグリーンリース費として徴収するが、これは電気料金の低減分を上回ることがないように設計されているため、テナントの負担額は低減されることになる。
同社は事前検証や機器の選定、施工、グリーンリース費の設定などのほか、導入に際してのテナントの同意取得、毎月の報告書発行など、グリーンリースに関る業務すべてを一貫して行っている。
顧客のニーズに合わせてオプションも多数用意している。グリーンリース費を変動制にし、オーナーから同社へ支払われる契約料は定額で、オーナー、テナントともに電気料金を削減すればするほどメリットが大きくなる仕組みも可能である。
同社代表の桝田雄三氏は「これまで省エネや節電への妨げとなることもあったコストの問題を解決できる仕組みです。オーナー、テナントともにメリットがあり、オプションの組み合わせによっては初期投資や返済なしでエネルギー費を低減することもできます」と導入を呼び掛けている。