週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

注目の不動産 朝鮮総連本部、競売へ一歩近づく

2012.07.02 17:17

 整理回収機構(東京都中野区)が在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連・東京都千代田区)の中央本部の土地および建物を競売にかけるため、その所有権が朝鮮総連にあることの確認を求めた裁判の判決が27日に確定した。最高裁は朝鮮総連側の上告を棄却し、同本部の土地および建物の所有権が朝鮮総連のものであると認められた。
 朝鮮総連側は話し合いによる解決を望んでいると伝えられているが、朝鮮総連に対し約627億円もの債権をもつ同機構が中央本部の差し押さえおよび競売を申し立てるのは確実と見られている。実際に競売にかけられるのは数ヶ月先になる見通しだが、この競売が注目を集めることは間違いないだろう。
 中央本部のある千代田区富士見は大学や専門学校などが多く立地するが、古くからの住宅も多く、昨今はマンション開発なども盛んに行われている。近隣のビルオーナーによれば、住居の都心回帰が進むなか、交通利便性と住宅地としての質の高さなどが人気となり、流入してくる新規住民は増加の一途を辿っているという。エリアの玄関口となるJR「飯田橋」駅南側では現在も大規模再開発が進行しており、開発予定地とおぼしき土地も目に付く。地元では早くも跡地利用が話題となっているともいい、関心の高さを感じさせる。北朝鮮の実質的な大使館としての役割を持つ建物の移転という政治的意味合いもさることながら、近隣の不動産市況に与える影響という点でも興味深い競売となりそうだ。
 報道などによれば中央本部ビルは地上10階地下2階の鉄筋コンクリート造。敷地面積は約2390㎡で、延床面積は約1万1700㎡となっている。




週刊不動産経営編集部  YouTube