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電力料金値上げ問題続報 公正取引委員会が東電に対し注意
2012.07.09 14:52
東京電力の電力料金値上げ問題については、弊紙紙面上にて再三にわたってお伝えしてきた。また、5月23日に開催された不動産経営者倶楽部・法務部会勉強会では、座長の稲垣俊勝氏を中心として、電力料金値上げに関する東京電力の対応の是非を問うパネルディスカッションが行われた。その後、同部会では公正取引委員会に対して「独占禁止法第45条第1項に基づく申告書」を提出。今月2日、公正取引委員会より同法第45条第3項の規定に基づく通知書が送られた。
この通知書によれば、東京電力の行為は独占禁止法第2条第9項第5号(優越的地位の濫用)に該当し、同法第19条の規定に違反する行為につながるおそれがあるとして、東京電力の西澤俊夫代表取締役(当時)に対し文書での注意が行われたということである。
注意の概要は以下の通りである。(一部抜粋)
(1)東京電力は、東京電力の供給区域における自由化対象需要家向け電力供給量のほとんどを占めており、一方、当該供給区域における特定規模電気事業者の電力供給の余力は小さい。これらの事情から、東京電力と取引しているほとんどの自由化対象需要家にとって、東京電力との取引の継続が困難になれば事業経営上大きな支障を来すため、東京電力が当該需要家にとって著しく不利益な取引条件の提示等を行っても、当該需要家がこれを受け入れざるを得ない状況にあり、東京電力は、当該需要家に対し、その取引上の地位が優越していると考えられる。
(2)東京電力は、東京電力の供給区域において、東京電力と取引している自由化対象需要家に対し電力供給を行うに当たり、平成24年1月頃から同年3月頃までの間、東京電力と当該需要家との間で締結している契約上、あらかじめの合意がなければ契約途中での電気料金の引上げを行うことができないにもかかわらず、一斉に同年4月1日以降の使用に係る電気料金の引上げを行うこととするとともに、当該需要家のうち東京電力との契約電力が500キロワット未満の需要家に対しては、当該需要家から異議の連絡がない場合には電気料金の引上げに合意したとみなすこととして書面により電気料金の引上げの要請を行っていた事実が認められた。なお、東京電力は、本件に係る経済産業省の指導等を踏まえ、平成24年3月下旬頃以降、東京電力と取引している自由化対象需要家に対し、契約期間満了までは契約中の電気料金での取引の継続が可能であることを伝えた上で、電気料金の引上げの要請を行うとともに、当該需要家のうち東京電力との契約電力が500キロワット未満の需要家に対する電気料金の引上げの要請に当たっては、書面に加え、電話や訪問により口頭で電気料金の引上げ理由等について説明している事実が認められた。
現在も個別で電気料金請求の対応が異なるなど、この問題をめぐっての解決点は未だ見ていない。今後も稲垣座長をはじめとする各ビルオーナーへの対応について、弊紙を通じてお伝えしていきたい。