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日本板硝子環境アメニティ ダブルスキンの新施工システムを新たに展開

2012.07.09 11:14

 建造物の防音・防振工事の施工を主事業とする日本板硝子環境アメニティ(東京都港区)は、本格的に環境改善事業に進出し、環境関連の新システム・新技術の開発を積極的に行っている。
 「診断、施工、測定まで一貫して責任施工体制を構築し、防音・防振等の快適環境をご提供してまいりましたが、全般的に環境改善をご提案できる『環境工務店』を目指します」とは、同社事業部長の平岡文寛氏。これまで太陽光照明システム「スカイライトチューブ」の販売や屋上緑化などを手がけてきたが、その中核となるのが今年6月から展開している、中小規模オフィス・店舗の消費電力量を大幅に削減する新施工システム「トロポス インナー・ガラススキンシステム」だ。
 同システムは、ガラス建築の施工会社として有名なデバイス(茨城県水戸市)と茨城大学が平成21年から取り組んでいる温暖化対策プロジェクト「D-Project」による実証実験を元に誕生。実証実験では、既存建築物を改修し、建物の4面すべての外壁ガラスを二重構造にするダブルスキンと、その間の空気を循環させるエアフローシステムを採用し、空調負荷を飛躍的に削減することに成功した。
 「実証実験は平成22年、平成23年の2年間行い、開始前・開始後を比較するとCO2排出量は75%以上の削減効果がありました」(平岡氏)
 ダブルスキンの技術自体はすでに確立されているが、同社システムの特徴は、ダブルスキンの内壁・外壁の上部と下部に排気口を設けた点にある。日射によってダブルスキン内の空気が温められて上昇気流が生じるため、夏場は外壁の排気口を空けてダブルスキン内の熱気を自然排気する。冬場は外壁の排気口を閉め、内壁を空けると日射で温まった空気が室内を循環し、暖房になる。また、ガラス壁のため採光性に優れ、昼間の照明削減にも効果が高い。
 「季節・時間帯によって絶えず変化する熱エネルギーを年間通じてコントロールできます。CO2や使用電力の削減だけでなく、日射の影響を受けやすい窓際スペースを快適な環境に変えることもできます」(平岡氏)
 既存建築物にダブルスキンを採用するのは敷地に制約があり、導入は難しいという欠点がある。しかし、同システムは室内にインナーガラススキンを設置するため、既存建築物にも簡単に採用できる。また、サッシレスにしたことで通常の建築より1割程度のコストアップで施工が可能だ。




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