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旭硝子 年間空調エネルギー使用量を約30%削減
2013.02.18 17:40
熱は温度の高い場所から低い場所に移動し、一緒の温度になろうとする性質があるため、夏期に冷房で冷やしても外気の温度は高いので、室外から熱が移動して室内の温度を上昇させる。一方、冬場になると、室内の暖かい空気がどんどん寒い外に逃げてしまう。とはいえ、建物の壁には断熱材が入っていることもあり、熱が伝わりにくくなっている。しかし、外気に触れているのにも関わらず、対策が遅れている箇所に窓が挙げられる。窓から頻繁に熱が出入りするのだが、省エネ性能に優れたエコガラスを導入したくても既存のオフィスビルや商業ビルなどの建物では制約が多いので、足場を組むような大規模改修工事に踏み切れないのが実状ではないだろうか。ただ、簡易な方法での省エネ対策として遮熱フィルムが挙げられるが、季節により有効な期間が限定的なこともあり、年間を通して効果を発揮する製品が求められている。
そういったニーズに応えるべく、ガラスメーカーの旭硝子(東京都千代田区)が昨年10月から発売した、「ATTOCH(アトッチ)」は、室内側からLow-Eガラスを既存の窓に接着することで、エコガラスにするという全く新しい工法として展開。
同社のグループ会社であり、同製品の製造・販売を行うAGCグラスプロダクツ(東京都台東区)のアトッチ事業推進本部/営業部の部長である岡賢太郎氏は、省エネの仕組みについてこう語る。
「当製品はオフィスビルなどのFIX窓に貼り付けることでガラスが2枚重ねになるため、2枚のガラスの間にできる空気層により断熱性能がアップすることはもちろん、遮熱においても優れた効果を発揮します」
同製品を取り付けた際の冷暖房費の削減効果を算出したところ、6階建ての建物(基準階床面積727㎡)で全体のガラス面積が1218㎡の場合、年間エネルギーの削減率が30・6%となり、年間の空調エネルギーのコスト削減額が約70万円を実現している。
また、同製品はガラスのため、遮熱フィルムのように傷つきやすいという心配がないほか、貼り替えなどのメンテナンスを行う必要がないという。さらには、足場の設置が不要なので施工費用の圧縮に貢献するとともに、1窓あたり約30分~1時間で完了することが可能だという。
なお、同製品の施工は、同社の教育を受けて認定された「ATTOCH CLUB」によって行うため、万全の体制が整えられている。