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森ビル 環状二号線Ⅲ街区で上棟式・名称は「虎ノ門ヒルズ」に
2013.03.11 17:08
森ビル(東京都港区)が特定建築者として建設をすすめている「環状第二号線新橋・虎ノ門築第二種市街地再開発事業3.街区」が上棟を迎え、3月1日に上棟式が行われた。西久保八幡神社の神職によって執り行われた神事の後には街区の名称も発表され、同街区は今後「虎ノ門ヒルズ」と呼ばれることとなった。
環状二号線は昭和21年に新橋から神田佐久間町までの約9・2kmの区間で都市計画決定されながら、新橋・虎ノ門エリアでは実現を見ないまま半世紀以上の年月が経過していた。その後平成元年に立体道路の制度が整い、地下化した道路の頭上に建築物を建設することが可能となる。同街区はこれを受けて地元の合意形成がすすみ、環状二号線の頭上に立つ超高層ビルとすることで計画が動き出した。
「虎ノ門ヒルズ」は、延床面積24万4360㎡、敷地面積1万7069㎡、地上52階地下5階、高さは247mで、建物の南側地下部分を環状二号線がつらぬく構造。47階から最上階まではハイアットグループのラグジュアリーホテル「アンダーズ」が導入される。同ホテルブランドは今回が日本初進出で、164の客室のほか52階には日本初のオープンエアスペース付きのバーやアウトドアテラスのあるイベントスペース、チャペルを設ける。36~46階は「アンダーズ」と連携した住宅が172戸入居する。共用部のデザインは「アンダーズ」と同じデザイナーによるもので、入居者は様々なホテルサービスも利用できる。
6~35階は、1フロア約1000坪のオフィス層。3種類の制振装置による高い耐震性能や非常用発電装置などBCPにも配慮するとともに、Low―Eペアガラスの採用やLED照明の導入など環境面に対しても高い性能を実現。CASBEE最高ランクの「S」を取得している。また4~5階には貸室面積合計2200㎡というエリア最大規模のカンファレンスセンターを設ける。天井高7・2mを確保した590㎡の「メインホール」、自然光が入り込む755㎡の「ホールA」、専用ホワイエを備えた434㎡の「ホールB」など、会議やミーティングから展示会、商談会、パーティーまで幅広い催事に対応している。1~4階は商業施設とし、なかでも3層吹き抜けのアトリウムに面する飲食店舗は街の新たなスポットとなることを狙う。オフィスワーカーのみならず、国内外の幅広い利用者を獲得できる店舗ラインアップとなる予定だ。
森ビル代表取締役の辻慎吾氏は次のように話す。
「虎ノ門・新橋地区は当社創業の地であり、特別な思い入れがあります。名称を『虎ノ門ヒルズ』と命名していただきましたが、『ヒルズ』は地元の方々と長い年月をかけて育んできた街のブランドです。地権者の皆様がその名称を選んでくださったことはなによりも嬉しく、光栄に感じています。総力をあげて、皆様の信頼と期待に応えていくことを約束します。世界の企業やプレイヤーを誘致し、国際ビジネスのハブとしてこの街を育むことが我々の最大の使命であり、責任であろうと思います。来年のオープニングパーティーで笑顔で再会し、今以上の喜びを分かち合いたいと願っております」
同街区の竣工は平成26年を予定している。