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エナジーセーブ 省エネ法の改正案が閣議決定 省エネコンサルタントに聞いたビルオーナーが採るべき対策とは
2013.03.18 15:51
平成22年に大幅改正された省エネ法に更なる改正が行われようとしている。
今年3月5日に「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)の一部を改正する法律案」が閣議決定された。これにあわせて、経済産業省は同日に同法律案を第183回通常国会に提出すると発表した。
法改正の趣旨は「経済の発展のためには、エネルギー需給の早期安定化が不可欠であり、供給体制の強化に万全を期す。その上で、需給サイドにおいては、持続可能な省エネ対策を進めていく観点から省エネ法の改正を実施し、所要の措置を講じる」ことが目的だ。
具体的な改正内容は大きく2点。(1)建築材料に係るトップランナー制度、(2)電力ピークの需要家側における対策が追加されるが、省エネコンサルタント事業を展開するエネジーセーブ(東京都港区)の米田桜子氏は「既存ビルにおいて電力のピークカット対策が重要視されるのではないでしょうか」との認識だ。
「平成22年度の改正省エネ法の骨子は、事業所単位から事業者単位に対象が拡大され、エネルギー使用量が原油換算で年間1500KL以上の事業者はすべて対象になりました。そのため、大規模ビルを所有する方だけでなく、テナント事務所を全国で使用している方や全国展開するチェーン店、FC店も対象になり、省エネ対策が進みました。一方、今回の省エネ法の改正は東日本大震災以降、重要視されるようになった電力のピークカット対策が盛り込まれているのが特徴です。あくまで努力義務ですが、社会的責任を重視する大手テナントはピークカット対策を実施します。そのため、入居するビルにも対策が求められるようになります」(米田氏)
ピークカットの具体的な対策として、経産省は「蓄電池やエネルギー管理システム(BEMS・HEMS)、自家発電の活用等により、電力需給ピーク時の系統電力の使用を低減する取組を行った場合に、これをプラスに評価できる体系にする(具体的には、省エネ法の努力目標の算出方法を見直す)」としているが、具体的なピークカット対策はどうすべきか。米田氏は次のように話す。
「電力使用のピークを把握するため、BEMSを導入し、省エネコンサルタントをまじえた運用改善を行うべきです。また、助成制度があるBEMSアグリゲータ事業を活用してもいいのですが、高コストかつ必ず自動制御を行うことになるので、不便になるケースも考えられます。BEMSに関しては当社では初期導入コスト不要のスキームをお勧めしています」(米田氏)
同法律は公布日から起算して1年3カ月以内で施行される。今から対策を検討しておくべきだろう。