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日本ルーテル教団 高層マンションより評価が高いビンテージマンショ

2013.04.15 16:59

欧米のライフスタイル満喫 隠れ家的な事務所としての活用可能
 東京都選定歴史的建造物・千代田区景観まちづくり重要物件に指定された「東京ルーテルセンタービル」を管理・運営する宗教法人・日本ルーテル教団(東京都千代田区)。同教団では歴史的に価値の高い建造物の維持管理に注力しているが、同教団が所有する賃貸マンション「合羽坂テラス」も趣きのある建物だ。
 都営新宿線「曙橋」駅から徒歩5分、高台の閑静な高級住宅街に位置する「合羽坂テラス」は昭和42年4月に竣工。地上3階建てのビンテージマンションだ。同教団のドイツ系アメリカ人宣教師が外国人居住者向けの住居として建設したもので、アメリカのライフスタイルを前提にした構造になっているのが最大の特徴。貸室面積は170㎡の3LDKだ。外観と合わせて、貸室内の戸棚等は白を基調にした清潔なしつらえで、何より1部屋のサイズがすべて大きい。外国人の生活に見合った間取りである。また、ボイラー式セントラル空調という、現代では珍しい空調設備を竣工当時から活用しているのも特徴だ。
 「館内に給湯管が張り巡らされ、冬でも暖かく、この規模の住居にしては驚くほど光熱費がかかりません」(管財課長 竹内 裕史氏)
 前庭には手入れの行き届いた日本庭園がしつらえてあり、4本の八重桜、ツツジ、スイセンなどが植栽されており、各居室に設置されたバルコニーから八重桜が咲き誇る様を間近に眺めることができる。曙橋にフジテレビが存在していた時代には、テレビ撮影にも頻繁に利用されていたという。
 竣工当初から外資系企業のトップが居住していたが、東日本大震災によって外国人の国外退去が相次ぎ、現在では日本人富裕層の隠れ家的な住居・事務所として活用されるようになった。震災後から入居者の入れ替えが相次ぎ、今や全6室のうち半分が日本人居住者であり、高層マンションから移り住むケースもある。
 「震災による大きな揺れを体感し、高層マンションから当マンションへ移転される方もいらっしゃいます。最先端の高層マンションと、築40年以上の当マンションを比較し、当方を選んでいただいたのは大変光栄です。欧米のライフスタイルを満喫でき、なおかつ都心部にありながら豊かな植物に触れ合える機会を生活の1シーンに求められているのではないでしょうか」(竹内氏)
 現在は1室が空室になっており、入居者を募集中だ。事務所兼住居として利用することもでき、住み込み管理人が常駐し、管理体制も万全だ。




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