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リビタ 戸建リノベーション事業が本格始動
2013.06.03 13:42
集合住宅を中心としたリノベーションや不動産有効活用コンサルティングなどを行うリビタ(東京都渋谷区)が、中古戸建住宅のリノベーション事業に乗り出すと発表した。
同社ではかねてより増加する住宅ストックを不動産全体の課題と捉えており、これまで行ってきた集合住宅リノベーション事業もその一環といえる。しかし平成20年の統計では、東京都内の集合住宅ストック103万戸に対し戸建ストックは150万戸。そして中古住宅として販売された数は集合住宅1万3210戸に対し戸建はわずか2768戸である。同社では中古戸建住宅の流通低迷を解決する糸口として「不動産評価における課題」と「商品企画・施工における課題」を設定。評価面では木造建築の耐久性や資産価値維持の仕組みづくり、商品面では事業ベースに乗せられるコスト配分などを考慮し、敷地面積30坪以上、土地単価は坪100万円以上、注力するエリアとしては東京西南部から神奈川北東部までを想定している。建物は建坪30坪以上で基本的に木造在来工法のもの。瑕疵保険や耐震規準、フラット35などの取得を前提としているが、基本的に築年数は問わない。当面は同社が物件を購入し、リノベーション実施後に5000万円~7000万円ほどで販売する。
すでに平成23年8月にはプロジェクトチームを発足させており、先行して物件を2棟取得。6月中旬には第1棟目となる「石神井の家」が完成する。リノベーションの手法としては「空間」「素材」「構造」の3要素を設定。使い方を決めず、住む人が自由に創りあげていく空間とし、構造は安全性と環境性能、快適性を確保。長く住むことを前提とし、使うほどに味を増す素材を使用する。
5月28日に行われたプレス発表会で同社事業統括本部長の内山博文常務は「高価格エリアとリノベーション物件の親和性が高いと見ている。先行する2棟の様子を見極め、まずは年間10~20棟前後を手がけていく予定」と話し、会社として今後の事業展開に力を入れていく姿勢を示した。また「戸建住宅の敷地が代を経るごとに小割り化されていく現状にも歯止めをかける」ことも背景にあるという。国内中古戸建流通や土地流通に変革をもたらす可能性のある事業といえるだろう。