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ふるさと東京を守る会 総務省固定資産税課・東京都主税局を招き固定資産税高騰に苦しむオーナーの現状を訴える

2013.07.01 16:21

 固定資産税の高騰に反対するビルオーナー・商店主による団体であるふるさと東京を守る会は6月24日、第3回通常総会および記念講演を開催。記念講演では、総務省自治税務局固定資産税課の担当者3名と東京都主税局担当者2名を招いて、固定資産税の高騰に苦しむビルオーナーの現状に対する理解を訴えた。
 「リーマン・ショック以降、賃料収入は下落を続けており、都心6区の土地所有者、中小ビルオーナーは平成21年6月から毎年10%上昇している固定資産税の納付に苦しんでいます。さらに東日本大震災の発生以降、旧耐震ビルに対する需要が減り、旧耐震ビルの多くは空室を長期間抱えているのが現状です。それでは、耐震補強工事を行えばよいのか言うと、そう簡単にはいきません。数千万円必要となる耐震補強工事の資金を捻出するのも決して容易ではありません。ですから、旧耐震ビルを所有するビルオーナーは、耐震補強工事あるいは建替え工事をしようと思ってもできない状況に陥っています。こうした中で固定資産税が上がっていくということは、ビルオーナーが東京から出ていかざるを得ない状況になるということです」
 壇上に立ったふるさと東京を守る会の理事である梅原ビルディングの梅原伸二郎氏は総務省および東京都に対してビルオーナーの心情を吐露し、その改善を求めた。
 さらに、東京合同法律事務所の前川雄司弁護士が固定資産税評価審査手続きについて、「平成11年に地方税法が改正されて以来、納税者が求めても課税当局は口頭審理を必ずしも実施しなくてよいということになりました。口頭意見陳述という制度もありますが、こちらは納税者がいくら質問しても何も返答がない、そんな制度となっています。こうした状態であれば、不服審査請求を提出するのも馬鹿馬鹿しいと誰もが思うはずです。また、この審査委員会の構成メンバーに固定資産税の行政を担当したことのある人が着任していたということもありました。これは、本来固定資産評価審査委員会は独立の第三者機関ということになっていることを考えると、公平・中立ではないのではないでしょうか」と意見した。
 これらの陳述に対して、東京都主税局の資産評価専門課長である岡島茂氏は、「ご指摘いただいた固定資産税評価審査委員会の件につきましては担当部署に伝えておきます。制度の改正となりますと大変時間がかかりますので、とりあえず今出来ることとして、皆様からいただきました不服申立について誠実にお応えしていきたいと思います」と答えた。また、総務省の自治税務局固定資産税課資産評価室の企画係長である古川大樹氏は「市町村の中には審査委員会が固定資産税課の中にあったというケースもありました。これは大変問題があると総務省も考えておりまして、審査委員会の事務局を固定資産税課と同じ部署に設置しないようにし、公平中立な審査に努めるようにと、平成18年には通達を出しています」と話した。




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