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ケネディクス・プロパティ・マネジメント AMの強み生かした「PM会社」設立
2014.03.24 10:33
プロパティマネジメント(PM)業界に新機軸が誕生した。
国内最大規模の独立系不動産アセットマネジメント会社であるケネディクス(東京都中央区)はノンアセットの不動産関連サービスの更なる拡大を通じて、安定収益であるフィービジネスの強化を目的にPM事業に進出。1月31日にPM会社「ケネディクス・プロパティ・マネジメント(東京都中央区、以下KPM)」を設立し、3月1日から本格的に業務を開始した。
「昨年2月14日に策定した中期経営計画では『フィービジネス=安定収益』の積み重ねを行うのが大きな柱にあります。PM業務への進出は景気変動に左右されず、比較的堅実な事業を行っていくことが狙いになります」(代表取締役社長 片山 慶三氏)
新たに設立されたKPMは、都内オフィスビルを中心にPM・BM事業を展開していたインフ・ビルマネジメントよりビル管理業務等の事業譲渡を受け、従業員等が転籍し体制を整えた。インフ・ビルマネジメントは元々、ケネディクスグループの運用物件を受託しており、テナントからの評価も高く、将来的に速やかな事業成長に繋げることができると判断した。
PM会社としては後発組となる同社だが、競合他社との差別化をいかに図るかが今後の鍵になる。設備メンテナンスに強いBM系をはじめ、面的管理によるコストカットを売りにするビルオーナー会社系のPM会社など、それぞれ特徴が異なるが、同社の最大の特徴は「AM会社によるPM業務」である。
「AMがPM業務を手掛けるのは、恐らく当社が初めてではないでしょうか。AM会社とは、投資家やテナント、金融機関も含めてサービスプロバイダーの役割を担っており、投資家やテナント双方のニーズを把握しています。アセットを保有しない中でより良いサービスを提供し、より良いリターンを投資家に提供し、テナントにはより良い居住空間を提供する。結果的にそれぞれの満足度を満たすことが可能になるのではないでしょうか」(片山氏)
これまで強みと弱みが明確なPMが多かったが、最終的な「収益向上」という目標を達成してくれるAM系が誕生したのはオーナーが一番望んでいたことだ。
PM業界に新たな系譜ともいうべき「AM系PM会社」が誕生することになる。ケネディクスのアセットマネジメント部門の責任者だった片山氏が同社代表に就任したのも、この方針を強く打ち出している意思表示といえるだろう。