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三井不動産 ベンチャー企業支援を本格化 イノベーション拠点「KOIL」開設
2014.04.21 13:46
三井不動産(東京都中央区)は今月1日から「ベンチャー共創事業室」を新設。起業家やベンチャー企業を支援するプログラム提供やコミュニティ運営を専門的に手掛ける全社横断組織として「新事業創出」に注力していく方針だ。それを象徴するのが16日に開業した「KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)」だ。
同施設は、三井不動産が「柏の葉スマートシティ」で開発を進めている複合施設「ゲートスクエア」4階~6階に開設されるイノベーション拠点。4階、5階はオフィス空間として機能し、6階にはコワーキングスペースを中心にした「イノベーションフロア」を設けた。170席を有する国内最大級のコワーキングスペース「KOILパーク」をはじめ、3Dプリンターやレーザーカッター等のデジタル機器を取りそろえた「KOILファクトリー」、人材の交流を生み出すカフェやスラジオ等を併設しているが、同施設の最大の特徴はハード面の充実度だけではない。ソフト面による事業化支援も積極的に行っていく。その一環として、創業支援組織であるTXアントレプレナーパートナーズ(千葉県柏市)が同施設に入居。起業・経営経験や幅広い専門性をもつメンター(支援者)が常駐し、創業支援プログラム等を通じてベンチャー企業のあらゆる課題に応えるワンストップ窓口を用意する他、2万人以上のクリエイターとのネットワークを持つロフトワーク(東京都渋谷区)が同施設の空間スケジュールやイベントプロデュース等に参画している。
開業に先駆けて10日に開催された記者会見では、三井不動産の常務執行役員、小野澤康夫氏は次のように述べた。
「KOILの最大の特徴はユニークで創造意欲が沸くファシリティに多様なコミュニティ(ソフト)を融合させたこと。物が溢れる現代社会では従来型商品に需要は生まれない。社会的課題を解決する新産業を創造することで新たな需要・雇用を生み出し、日本経済を活性化させていく。同時に当社もベンチャー企業の最新技術を当社の事業にも積極的に取り入れ、付加価値を高めて顧客に提供したいと考えている」
貸ビル業は「事業成長に寄与する良質な執務空間を提供すること」が本懐。新産業の育成に注力し始めたのは、原点回帰といえるだろう。