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イオンモール 激化する岡山商業戦争 「岡山ビブレ」を閉館し「イオン岡山」と一体的開発へ
2014.05.19 16:07
今月11日、「岡山」駅前で35年にわたり営業を続けた商業施設「岡山ビブレ」が閉館した。
同施設はA館・B館からなり、閉館時の売り場面積は合わせて1万6200㎡。敷地面積は同じく8090㎡。A館は昭和53年5月に「ニチイ岡山店」として、B館は同6月「ビブレ岡山店」として開業した。昭和61年に現店名にリニューアル後は若者向けの衣料品店や雑貨店などが集積したファッションビルとして長く機能したが、同形態店舗の新規出店が相次ぐなど競争が激化。売上はピーク時の半分程度にまで減少していたという。「岡山」駅前エリアではここ数年再開発が相次いでおり、「岡山ビブレ」と道路をはさんだ向かい側の街区では今年11月、西日本最大級の売り場面積となる「イオンモール岡山」(延床面積約25万㎡)がオープンする予定。将来的には「岡山ビブレ」の跡地も「イオンモール岡山」と一体となった開発が行われるもようだ。
「岡山」駅すぐの駐車場跡地で建設がすすむ「イオンモール岡山」には約350の店舗のほか、シネマコンプレックスや600席の多目的ホールなどの設置が予定されており、商業のみならず文化施設としての役割も果たすという。今年2月には「岡山高島屋」と「東急ハンズ」の入居が発表されており、テナントリーシングも順調にすすんでいると見られている。「岡山」駅前エリアでは「イトーヨーカドー岡山店」とアミューズメント施設「ジョイポリス岡山」の複合施設「ジョイフルタウン岡山」(売り場面積約1万5700㎡)が平成10年にオープンしたのを皮切りに、翌11年にはオフィスと商業施設の複合ビル「クレド岡山」と、「ロフト」をキーテナントとする「岡山ロッツ」がオープン。平成19年には「ビックカメラ」が中国エリアで初めて出店した。さらに平成24年、「岡山」駅の大規模リニューアルとともに誕生した駅ビル内に「サンステーションテラス岡山」が全館オープンするなどショッピングエリアとしての機能強化が続いている。また駅東口にひろがる地下街「岡山一番街」や「表町商店街」も高い集客力を持つほか、「地方百貨店の優等生」とも言われた地元資本の「天満屋」も根強い勢力を維持している。
広域エリアでは平成11年、岡山市に隣接する倉敷市に「イオンモール倉敷」(商業施設面積約8万2000㎡)がオープンしたのをはじめ郊外型店舗の出店が目立ったが、近年では平成23年に「倉敷」駅前のテーマパーク跡地に「三井アウトレットパーク」(商業施設面積約2万㎡)とショッピングモール「アリオ倉敷」(商業施設面積約1万6500㎡)がオープンするなど、倉敷市との競合という構図も明確になりつつある。
岡山市は山陽新幹線の開通以降交通機能の強化がすすみ、瀬戸大橋の開通によって中四国エリアの交通結節点としての地位を確立した。高い交通利便性を背景に物流拠点や企業が増加するにつれ人口も増加。平成21年には国内18番目の政令指定都市として指定を受け、都市機能の充実が図られている。相次ぐ商業施設開発について地元では「再活性化のきっかけになれば」として歓迎する一方、従来に無い大型店舗の出店に対して警戒する声も挙がっているようだ。「イオンモール岡山」の出店で、商業施設における競争はさらに激化しそうだ。