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JLA 原状回復工事のトラブル解消サービスを展開
2014.05.26 12:04
不動産コンサルティング会社のJLA(東京都台東区)は原状回復工事ならびに入居工事におけるトラブル解消サービスを展開している。
そもそも、賃貸契約書にはビルオーナーが収益源であるビルの資産価値を守るため、信頼のおける指定業者に工事を発注する旨が明記されている。これは資産保全のためには必要なことだが、独占的に工事が受託できるので競争原理が働かず、下請け・孫請け業者が関わってくるため、テナントが負担するトータルコストが高止まりする場合がある。
「とくに原状回復工事では、図面上だけで数量・項目・工事区分をコスト計算をしている場合があります。しかし、実際には工事区分などで不要な面積分も見積もり計算に入ってしまい、余分な金額を負担することになりかねません。当社では賃貸借契約書を順守した形で、工事内容を精査して適正な原状回復工事ならびに入居工事を実現できるようにサポートをしています」(若井氏)
同社のコスト適正化の方法は、まず指定業者からの見積もりを分析し、賃貸借契約書にそぐわない不要な工事を削ぎ落し、不自然に高価な部材を変更してもらい、価格協議を行う。代替案として、あくまで指定業者の利益分は確保した上で、実績と信頼のおける下請け業者を紹介するなどをして変更を依頼する。最終的な工事の確認を含め、指定業者が責任施工で行うため、テナントは仕上がりの心配がなくなるそうだ。
この賃貸借契約書を精査することは、テナントの利益保護だけが目的ではなく、オーナー側にもメリットがある。最近では原状回復工事の費用を削減しようとテナント側からオーナーに対して指定業者以外の業者を起用するように求めてくることも増えており、不当に安価な見積もりを突き付けてくるケースが多いという。そうした場合、テナント側が出してきた見積もりが賃貸借契約書やビルの貸方基準、館内規則等に合致しているのかを見極め、工事費用の不当な減額を防ぐことが可能になる。
「賃貸借契約を順守するため、テナント・オーナー間で発生した原状回復ならびに入居時のトラブルを中立的な立場で整理調整するのが当社の役目になります」(若井氏)