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三井不動産 ロンドンの再開発計画に参画 街づくり型大規模開発事業に本格進出
2015.06.15 12:41
三井不動産(東京都中央区)は、英国子会社「Mitsui Fudousan UK(英国三井不動産)」を通じて、ロンドン市ウェストエンドから西に約6kmに位置する大規模複合再開発事業、「(仮称)ホワイトシティプレイス再開発計画」に新たに参画した。近接地で進めている「(仮称)テレビジョンセンター再開発計画」を合わせた敷地面積および計画総延床面積は、ロンドンにおける日系企業の都市開発としては、最大規模となる。
当該2プロジェクトは、ロンドン中心部に位置しながら、多国籍企業が重視するヒースロー空港へのアクセスが良好であり、地下鉄3線2駅から徒歩1分、同駅から電車でウェストエンドまで14分、シティまで22分と、交通利便性に恵まれている。周辺では世界有数の理科系大学であるインペリアルカレッジロンドンの新キャンパスが建築中で、またロンドンを代表する大型ショッピングセンターの「ウェストフィールド・ロンドン」が大規模増床計画を推進中であるなど、地域全体が変貌しつつあるエリアだ。ロンドン市の開発促進地域にも指定されている。
「(仮称)ホワイトシティプレイス再開発計画」は同社グループが英国の公共放送局であるBBC(英国)より今般取得し、新築ビルの建築および既存ビルの改修などを行うプロジェクト。敷地面積は約17エーカー(約2万1000坪)あり、現状空地部分に計画中の新築建物が竣工すると総延床面積は約6万3000坪となる予定。BBCの自社オフィスとして使われていた既存ビルのうち3棟は、BBCに長期テナントとして引き続き賃貸する。同社グループは同プロジェクトを通じ、既存のオフィスを活気のある都心型ビジネスパークとして再生、「(仮称)テレビジョンセンター再開発計画」とのシナジーを活用してメディア、IT、ファッション産業等のテナントを誘致し、賑わいのある街づくりを推進する。
「(仮称)テレビジョンセンター再開発計画」は、BBCのスタジオ、オフィスなどとして利用されてきた建物を、オフィス、住宅(約900戸)、ホテルなどから構成される複合施設へ生まれ変わらせる再開発事業で、総延床面積は約5万6000坪となる予定だ。住宅は、同社グループ初のロンドンでの分譲住宅事業となる。
当該2プロジェクトは、ロンドン有数のディベロップメントマネージャーで、同社グループと資本提携をしているスタンホープ社との共同事業だ。スタンホープ社は両プロジェクトでもディベロップメントマネジメントを受託する。
また、同社グループにとって、イギリスにおける初の大規模複合再開発であり、日本の複合的な街づくりのノウハウを同事業に活かすことにより、同社グループの事業領域を拡大し、今後のさらなる海外事業の発展につなげていく。同社グループは、海外事業を成長分野の一つに位置づけ、欧米エリアではオフィス・賃貸住宅など複数の用途の開発事業に取り組み、社会や経済の変化を捉え、当該2プロジェクトのようなトロフィー物件の開発を含め、今後の更なる事業機会の拡大を目指す。なお、先月に公表したグループ中期経営計画「イノベーション2017ステージ2.」では、平成27年~29年の3カ年で、欧米・アジアにおいて約5500億円の投資を行うことを表明している。