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<新提案>スペース・メニュー・ラボ 大規模改修よりもプチ・リニューアル

2015.07.20 16:59

アートの力でビルに物語を生み出す
 低予算、短工期、高付加価値の3つを兼ね備え、「壊しすぎない」で空間価値向上のための物語性・話題性を付与する新たなリニューアル手法が誕生した。建築設計・空間デザイン等を手掛けるスペース・メニュー・ラボ(東京都港区)が提案するのはアート的手法を全面に打ち出した「プチ・リニューアル」プランだ。「都市・建築物の適応力」を重視する建築家の齊木慶一氏が考案。無駄な大改装を行わずに独自の付加価値をプラスするリノベーション手法として注目されている。
 「端的に言えば、ビルやマンションのエントランスホール等に既存空間を生かすオブジェ、アート家具、アートサイン等を配置してリニューアルするというもの。20~30坪あるエントランス空間で全面改修するなら床・壁・天井をすべて解体して新たに作り直すとコスト・工期がかかります。養生が必要になり、入居者・テナントにも迷惑をかけてしまう。総合的に見ればマイナスのほうが大きくなる場合もあります。そこで当社ではそれぞれの現場状況を読み込み、既存を出来るだけ生かして物語性を設定し、全面改修に比べ低予算、短工期、高付加価値のアート的手法によるプチ・リニューアルで物件の価値を再認識してもらうという手法を提案しています」(代表取締役 齊木 慶一氏)
 鎌倉にある100戸規模のマンションでプチ・リニューアルを実施した事例では、ごく一般的なエントランスホールを「ギャラリー」に見立て、齊木氏がデザインしたアート作品を配置。吹き抜けからの風によってはアート作品の羽根が揺れることで、心地よい風を体感できるマンションとしてストーリー性をもたらした。「ひと工夫するだけで価値を再認識させられる」という。
 また、四谷のマンションでは既存エントランスの中央に鉄製のオブジェを設置。ストーリーは「建物が存在する以前からあるような柱が土地の歴史を物語る」とする。柱は錆色仕上げにして、石やタイルの既存部材との調和を重視している。
 「時間をコスト換算した場合、1カ月工事の期間は設置費用だけでなく収益も損なわれる可能性が高い。現状を生かしながら短工期で、より付加価値の高いリニューアルを行うことは可能です。ビルやマンションの他、病院、学校、商業施設等でも実績があり、今後老人ホーム、ホテル、結婚式場など各種施設でもコストパフォーマンスの高いリニューアルを実施していきたい」(齊木氏)




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