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サスティナビリティ創造研究学会 銀座エコツアー開催
2015.08.03 11:30
「サスティナビリティ創造研究学会」(東京都港区)が主催する「銀座エコツアー」が、先月22日に行われた。同学会の専門部会である「サステイナブル・コミュニケーション部会(以下SC部会)」では、とりわけ「コミュニケーション」にフォーカスした活動を行っており、第6回目のテーマは「屋上緑化」だ。
都市部の人工排熱や緑地の減少などにより、ヒートアイランド現象が問題となっている。そこで東京都はある一定の大規模ビルに屋上・壁面緑化を義務付けた。しかし中小規模のビルが導入するのは難しい。そこで今回のツアーは中小規模のビルを対象にした「簡単に出来る屋上・壁面緑化」に視点を当て、資生堂銀座ビル、松屋銀座、白鶴酒造の屋上緑地や農園を見学した。
資生堂銀座ビルの屋上庭園「資生の庭」は、銀座の新しい生態系を形成していた。100種類以上の植物が栽培され、その多くが資生堂化粧品の原材料となる。綿密な調査に基づく植栽設計と生態系ネットワークの構築を行い、見事にビルの屋上で成功した。この「資生の庭」を「社員の自然に対する学びの場」「心安らげる憩いの場」として開放している。
松屋銀座では屋上緑化から始まった屋上菜園を見学した。銀座のビルの屋上でミツバチを育てるNPO法人「銀座ミツバチプロジェクト」の活動に賛同して、ミツバチの蜜源を提供する狙いやヒートアイランド現象の問題に取り組むために屋上菜園を始めた。屋上菜園は、無農薬栽培で夏にゴーヤ・ピーマン・ナスなどがとれる。銀座産蜂蜜は地下1階で販売しており、銀座産蜂蜜を使ったスイーツも販売され評判がとても良い。
最後は白鶴酒造に行き屋上田園の見学と、農園長の小田朝水氏か講演した。「銀座から日本酒文化を発信出来ないか」という思いから、清酒の命であるお米の栽培を同ビルの屋上で行っている。「銀座生まれのお米による銀座生まれの日本酒」が完成し、銀座界隈の飲食店との交流が増えた。屋上田園は同社のPRだけでなく、地方の方や子供達との交流による地域活性化にも繋がり、社会貢献としても注目だ。
屋上・壁面緑化には環境保全だけでなく、ビルの特徴・PRを増やす事が分かった。屋上緑化は多くの方との繋がりを形成出来る。自社の企業価値を高める広報として行う価値がある。