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帝人 新たなシステム天井

2015.08.03 11:26

 帝人(大阪市中央区)はポリエステル製タテ型不織布「V―Lap」を基材とする超軽量天井材「かるてん」使用したシステム天井を新たに開発した。
 同社は既に在来工法で「かるてん」を展開している。「かるてん」とは社会インフラにおける、技術およびソリューション創出の一環として開発された天井仕上げ材だ。同社の「かるてん」は、従来の天井材に比べて柔らかく軽量である。万一天井が落下しても、人や物への被害を最小限に抑える事が出来る。また吸音性能や断熱性に優れ、建築基準法で定められた不燃材料の規定にも適合している。
 システム天井とは、照明・煙感知器などの設備が組み込まれた天井で、オフィスや商業ビルなどに多く採用されている。意匠性が高く、天井設備のレイアウト変更に柔軟に対応できるのが特長である。最近では体育館やホール・大型店舗などの大規模な建築物にも導入されている。
 こうした中、同社は在来工法が適さない建築物への「かるてん」の適用を目指して、建築設計のエキスパートである株式会社日建設計(東京都千代田区)の助言・協力を得ながら、システム天井の開発に向けて改良を重ねてきた。在来工法の「かるてん」は、天井裏から吊り下げた下地材で組まれた骨組みに、仕上げ材をビスなどで張り上げる工法である。同社がこのたび新たに開発したシステム天井は、下地材にアルミを使用することにより、天井質量が特定天井の対象となる2㎏/㎡を下回る。これにより天井設計の選択肢が広がり、これまでよりも多くの建築物を対象に「かるてん」を展開していくことが可能となった。
 また同社は建築物の安全性向上へのソリューションとして、既に特定天井の在来工法用天井仕上げ材向けに「かるてん」を展開している。特定天井とは、脱落によって重大な危害が生ずる恐れのある天井の事。具体的には、6m超の高さにある、面積200㎡超、質量2㎏/㎡超の吊り天井で、人が日常利用する場所に設置されているものを指す。安全性向上にも全力で取り組む構えでいる。
 同社は「かるてん」のシステム天井への展開を推進するとともに、高機能素材やエンジニアリングに関する技術やノウハウを駆使することで出来る、システム天井の材料開発から設計までの統合的ソリューションを提案していく構えだ。このたびの開発を契機として、平成30年までに「かるてん」として6億円の売上を目指す。




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