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<空ビル問題>全国空室対策協議会 「空き家・空きビル」問題を話し合うシンポジウム

2015.09.07 17:37

社会福祉施設インフラとしての活用方法を提案
 全国空室対策協議会(東京都世田谷区)は今月15日、東京・八重洲にあるカンファレンス施設「アットビジネスセンター東京駅」において、空き家・空きビルの有効活用に向けた講演会「第1回空室対策シンポジウム」を開催する。第1部基調講演ではジャパン・インバウンド・ソリューションズの中村好明社長による「(仮)インバウンドのもらたす経済・不動産効果」と題した講演が行われる他、オクシイの高田麻衣子社長の「(仮)保育所併設シェアオフィスによる働くママのサポート」、UAOの伊藤麻里社長による「(仮)屋上増築耐震化の仕組と可能性」の3講演を実施予定。第2部は「空室を活用した社会福祉モールによる『育児・医療・介護・はたらく革命』で家族を幸せに!の可能性」をテーマにパネルディスカッションが行われる。講演後は登壇者・参加者による交流会が行われる予定だ。定員は100名。参加費は3000円となる。
 同セミナーは空き家・空きビル問題を社会的課題と認識する約30社の社長・経営者が参画する「空き家・空きビルを解決する会」が母体となる。貸会議室・レンタルオフィス事業によって空室対策を推進するアットオフィス(東京都港区)の代表取締役会長を務める谷正男氏が主宰。不動産事業者のみならず、医師や士業、IT、ベンチャーなどの業界の垣根を越えたメンバーが参画し、幅広い知見から「空き家・空きビル問題」を社会福祉モールに再利用できないか研究しており、今回のセミナー開催を機に対外的な活動を拡大していくという。そのとりまとめ組織として全国空室対策協議会が設立され、谷氏が代表を務めることになる。
 谷氏によると「空き家問題は全国的にクローズアップされているが、最大の課題は少子高齢化で空きビル問題にも繋がる。労働人口の減少や働き方の変化もあって、既存中小ビルの空室はオフィスだけで埋める時代は早晩終り、それならば空きビルを使って医療・介護・育児・教育等の社会的な福祉施設のインフラとして再利用することで地域活性化を実現すべきだ」と指摘する。
 提案するのはビルを社会的インフラにリノベーションする「リノビル計画」。女性が子育てしやすい環境を提供することと、外国人労働者の就労を促すための施設作りを全面に打ち出す、このリノベーション計画では屋上の減築・増築による耐震化を実現し、法令遵守と容積率向上によるビルの価値向上を実現しながら育児施設や病児施設、学童保育施設等として活用するもの。ビルオーナーのコスト負担は限りなくゼロに近い社会的意義の高い取り組みだ。建築士や不動産会社、医師や士業関係者の知見を結集させて生み出したスキームであり、「空き家・空きビルを解決する会」ならではの少子高齢化対策の解決策でもある。




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