週刊ビル経営・今週の注目記事
毎週月曜日更新
日建設計総合研究所/大成建設/朝日工業社 省エネと快適性を両立した新たな業務用ビル液冷空調システムを開発
2015.12.07 16:47
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構の略称)プロジェクトにおいて、日建設計総合研究所(東京都千代田区)、大成建設(東京都新宿区)、朝日工業社(東京都港区)は、省エネと快適性を両立した新たな業務用ビル液冷空調システムを開発した。
業務用ビルでのZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)実現には、空調エネルギー消費量の大幅な削減が必要。従来の空気空調機方式の空調では、機器発熱が室内に拡散後、室内空気を冷却するため、低温冷水が必要となる上、温度分布ができ室内温熱環境にばらつきが生じる原因となっており、省エネ性、快適性に課題があった。
同システムは従来、室内に出していた機器発熱を発生源で中温冷水により冷却する液冷化と、回収温熱・太陽熱などの再生可能エネルギーを利用できる熱源システムを組み合わせ、これらの機器の最適運動をサポートする管理システムも含めた統合的な空調システム。開発要素を統合した実証試験とシステムシミュレーションにより、業務用ビル空調として一般的な空冷ヒートポンプ熱源と空調機システムによる空調と比較して、年間空調エネルギー消費量80%以上の削減と、快適な室内環境の実現を確認した。
今後、平成32年頃を目処に、業務用ビル液冷空調システムを組み込んだZEBの普及展開を目指していく。また、今回開発した技術は、事務所建物だけでなくデータセンターや産業分野へも応用可能であり、さらなる省エネに向けた展開が期待できる。