週刊ビル経営・今週の注目記事
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業界団体 年頭所感
2016.01.11 17:20
新年あけましておめでとうございます。
今年は年明け早々に通常国会が召集されますが、来年度税制改正の柱である法人税率の引下げをはじめ、第3次安倍内閣が掲げる新3本の矢の実現に向けた政策や予算の審議が国会の場で速やかに進み、経済の好循環が持続していくことを期待しています。
ビル事業を巡る市場環境は、企業収益の改善に伴い、テナントの前向きな統合移転や拡張移転ニーズが顕在化しており、全国的に空室率の改善傾向が進んでいます。一方、賃料については東京圏において回復トレンドが継続していますが、全国的には総じて横ばいとなっています。今年は回復の流れを確実なものとすることが大切であり、そのためにも先行き不透明な要素を抱える経済の安定が不可欠であるとともに、ビル業界として持続的な成長を目指す経営が重要となってきます。これからも業界発展に資する政策提言、会員にとって役立つ情報の発信やサービスの提供に努めていきます。
オフィスビルは、テナント企業の知的生産を支える「経済インフラ」としての役割に加え、魅力ある都市機能の向上に貢献する「都市インフラ」として国際的な都市間競争を勝ち抜くための重要な役割を果たしています。さらには安倍内閣が推進する地方創生においても魅力ある地域社会を構築する重要な要素となっています。
オフィスビルを巡っては耐震性の向上、地球環境や省エネへの取り組みが大きな課題となっています。連合会では、オフィスビルが現代社会に果たしている役割を踏まえつつ、地方協会との連携を深め、会員の総力を結集しながら、これらの課題に対応するとともに、都市機能の充実と業界の健全な発展に向けた活動を展開していきたいと考えています。
わが国経済は、企業収益の改善や、雇用・所得環境の改善等を背景に、緩やかな回復基調を続けている。安倍政権はアベノミクスの第2ステージとして、「名目GDP600兆円」など具体的な目標値を盛り込んだ「新三本の矢」を掲げており、強い経済の実現に向け、政府の具体的施策が着実に実行されることを期待している。
Jリート市場は、昨年、35件のPOと5件のIPOが実施され、物件取得額は1兆6000億円を超え、資産規模は13兆9000円に達した。市場規模の拡大等により流動性や安定性が一層向上したことで、投資家の優良な運用先としてますます注目が高まっている。 一方、私募市場では、オープンエンド型私募リートが年金等機関投資家の運用先として急速 に普及し、現在、15銘柄が運用され、資産規模は1兆3000億円を超えた。さらに数銘柄の新規組成が公表されており、今後も拡大が期待される。
投資対象資産の多様化も進んでおり、昨年は、ヘルスケアリートやホテルリートの相次ぐ新規上場が実現した。また、Jリートの保有する物件が、既に全国44の都道府県に広がるなど、市場は幅と厚みを着実に増している。こうした資産の多様化や広がりとともにCRE戦略やPRE戦略のさらなる促進を図り、成長産業や長寿社会が必要とする社会資本形成や都市再生、地域活性化に寄与することで、引き続きわが国経済の持続的成長に貢献してまいりたい。
また、不動産証券化商品の普及活動にも引続き注力していく。機関投資家に対しては、不動産がアセットクラスのひとつとして位置付けられるよう情報発信に注力するとともに、インデックス等の普及や投資家登録制度を活用した連携強化に努める。個人投資家に対しては、本年のNISA制度の拡充に合わせ、Jリート投資を喚起する活動に一層力を注いでいく。
当協会は、中期事業計画(2015年度~2017年度)において「2020年のオリンピック・パラリンピックを好機ととらえ、Jリートおよび私募リート等の資産規模30兆円を目指す」と掲げている。本年を、不動産投資市場の更なる飛躍に向けた活動を本格化させる年と位置付け、強い使命感を持って取り組んでまいりたい。