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JLL 世界の商業用不動産投資をまとめた投資分析レポート(速報)を発表
2016.01.18 14:35
世界の不動産投資額、前年比3%減の6890億ドル
日本は22%減の339億ドル(円建て12%減の4兆900億円)
総合不動産サービス大手のJLLグループ(イリノイ州シカゴ、以下JLL)は14日、世界の商業用不動産投資をまとめた投資分析レポート(速報)を発表した。なお世界の商業用不動産投資をまとめたレポート(確報)、及び日本の不動産投資に特化した分析レポート「ジャパン キャピタル フロー(Japan Capital Flows)」は1月末に発行予定。
2015年通年のアメリカ大陸の投資額は、前年比4%増の3130億ドルとなり、リーマンショック前のピーク(2007年)の投資額3040億ドルを超え、2007年の調査開始以来、同地域における最高額となった。欧州・中東・アフリカ諸国の投資額は前年比9%減の2530億ドル。アジア太平洋地域の投資額は前年比6%減の1230億ドルとなった。ドル高により日本やオーストラリアの投資額が現地通貨に対して約20%目減りしていることが影響している。
日本の2015年第4四半期の投資額は前年同期比62%減の57億ドル(昨年10月~12月の平均為替レートにおける円建てで60%減の6880億円)となった(図1)。また、2015年通年の投資額は前年比22%減の339億ドル(円建てで12%増減の4兆900億円)。 取引金額が500億円以上の大型取引に限定した投資総額は2014年に約1兆円であったものの、2015年には約4000億円に減少しており、この大型取引の減少が投資額減少の原因となったものと考えられる。また、2014年の大型取引のうち、約6000億円にあたる取引はスポンサー間取引、または以前の所有者による買戻し取引だったことを勘案すると実質的な取引金額は減っていないものと考えられる。
同社では2016年通年の世界の商業用不動産投資額は7200~7300億ドルと予測している。JLLリサーチ事業部長赤城威志氏は次のように説明する。
「2015年第3四半期まで拡大傾向を示していた日本投資市場は予想に反して今第4四半期大幅な減少となりました。2015年通年の投資総額も前年比で減少となったものの、2014年に多く見られたスポンサー間取引を含む大型取引が減少していることが影響しており、また国内外投資家の積極的な投資姿勢に変化はないことから、数値だけを見て市場が減退したということはできないと考えられます。現在でも複数の大型案件が取引進行中であり、また2016年2月に上場予定のラサールロジポート投資法人をはじめ、年明け以降、各種プレイヤーの積極的な資産取得の動きもすでにみられています。地方物件の取引増加も見られる中、引き続き2016年を通して投資市場は活発な状態を維持するものと考えられ、結果的に前年比で減少となった2015年総投資額を上回る水準で推移するものと予測されます」