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<新ビル巡り>鉄構ビルディング編
2016.02.08 10:32
外国人利用者を想定したサービスアパートメント・リムジンバス発着場を整備
半世紀以上にわたり「東京」駅前のシンボルとして親しまれてきた「鉄鋼ビルディング」が昨年竣工。今月4日にグランドオープンを迎えた。国際都市化に対応した次世代型のビルとして注目されている。
エリア初の中間免震構造 安全・安心の提供に注力
建替えによって誕生した新しい「鉄鋼ビルディング」は、地上26階地下3階塔屋1階の本館と地上20階地下3階塔屋1階の南館の2棟によって構成される。敷地面積は約7400㎡、延床面積は約11万6600㎡。オフィスは本館地上3階から24階までの22層で、基準階貸室面積は約2370㎡。東証一部上場の亜鉛メーカー・東邦亜鉛の本社事務所や京都銀行の東京営業部、JR東日本グループの人材派遣会社・JR東日本パーソネルサービスなどがオフィスの入居テナントが構成されている。
商業ゾーン「TEKKO avenue」は建物低層部の地下1階及び地上1階に配置され、和食などの飲食店舗、コンビニエンスストア、クリニック、フィットネスクラブなど全21店舗が入居。往来する人々を飽きさせないアート照明で演出された全長約140mの特徴的な空間を創出している。また、「鉄鋼ビルディング」の大きな特徴は、インバウンド需要の伸張に伴う海外からの企業進出やビジネスマンの利用を見越したサービスアパートメントや空港直結のリムジンバス発着場の整備である。南館地上6階~19階に設けられたエリア初となるサービスアパートメント「オークウッドプレミア東京」は全123室で構成され、一泊から中長期の滞在まで幅広い利用者のニーズに対応する。南館の地上1階部分には早朝から深夜まで運行する空港リムジンバス発着場を整備し、羽田・成田両空港へのアクセスを確保。空路と陸路の結節点として、待合ラウンジのほか貸会議室などの機能を充実させ、国内外のビジネス拠点として機能することになる。
グランドオープンを迎えた今月4日には、関係者らを招いての記念式典を開催。この中で挨拶に立った鉄鋼ビルディング代表取締役社長の増岡祥文氏は「『鉄鋼ビルディング』は地域初の中間免震構造を採用し『安全・安心』に特化したビルづくりに努めているほか、サービスアパートメントやリムジンバス発着場は海外からのビジネスニーズに対応します。この『鉄鋼ビルディング』は、『人と人、街と街、そして時をつなぐ』をコンセプトに開発を行いました。かつて東京のビジネスの拠点として皆様に親しまれた旧『鉄鋼ビルディング』の歴史を受け継ぎ、新しい『鉄鋼ビルディング』が長く愛されるビルとなることを願っています」と述べた。記念式典には舛添要一東京都知事や岸田文雄外務大臣ら多くの来賓が出席。「鉄鋼ビルディング」のグランドオープンを祝った。東京が国際的な経済・金融の中心地として更なる成長を目指すためには、インフラなど多くの面で国際化に対応することが求められる。4年後の五輪開催も控える中、「鉄鋼ビルディング」は今後ますます増大する外資企業及び外国人ビジネスマンからの需要に応える複合機能を集約したビルとして、象徴的な存在となるだろう。