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オスカー 民泊の健全化に向けて通報サービス「民泊ポリス」を開始
2016.06.20 17:04
注目を浴びながらも、様々な問題が絶えない民泊。そのなかで健全な民泊普及に向けたサービスが登場した。
オスカー(東京都渋谷区)が今月9日より開始した民泊通報サービス「民泊ポリス」だ。特区あるいは旅館業法の「簡易宿所」の許可をとっていないという疑いや無断転貸は当然のこと、建物の規約違反、騒音やゴミ出しのルール違反などについて、匿名の第三者より通報を受けた物件について同社が民泊サービス内での当該物件アカウント等を確認し、物件オーナーや管理会社、保健所などに通知する。
代表取締役社長CEOの中込元伸氏は今回のサービス開始の経緯について「自分が住んでいたマンションで民泊をされている方がいて、ゴミ出しや騒音で迷惑を被っていました」と自らの経験から生まれたサービスであることを明かす。そして問題は民泊に関する悩みを近隣住民などが抱えたとき、現状相談できる窓口は少ないことだ。
「行政などに相談すれば対応されると思いますが、一方で『そこまで大事になっても』という気持ちもあります。そこで当社が『民泊ポリス』のサービスを開始し、周辺居住者と行政の間をつなぐことで民泊の健全化ができるとともに、近隣住民にとっての暮らしやすい環境の保護にもつながると思います」(中込氏)
不動産オーナーにとって民泊に対する懸念は無断転貸に対するものが強い。中込氏も「仮定の話ですが、無許可だったり無断転貸、管理が行き届いていなかったりする民泊が犯罪の温床になることも否定できません。そして民泊のイメージとしてそのような印象が根づいてしまうと民泊自体が不動産物件の価値を下げる可能性も考えられます」と指摘する。そのような事態を防ぐ手段としても「民泊ポリス」の意義は大きい。
「民泊自体は今後訪日外国人が増えてくる中で有意義な産業に発展していくと思います。オーナーの方々には所有の不動産物件価値を守っていく手段として、そしてエリア価値を守っていくためにもこのようなサービスを利用して頂ければと考えております。それが今後、より良い民泊を普及させていくための方法です」(中込氏)
民泊問題で悩むオーナーにとって強い味方の登場だ。